バンガードプロ:ジョシュ・ベンダー

バンガードプロ:ジョシュ・ベンダー

先日バッグの中身を公開してくれたジョシュ・ベンダーはブログ TRAVEL WITH BENDERで受賞歴もあるトラベルフォトグラファー。

年齢や学歴に関係なく理解できる共通言語としての写真に惹きつけられた彼は、常にわたしたちが暮らす素晴らしい世界に畏怖の念をいだかせるような瞬間を撮らえようとしている。

彼がどのようにして写真を始め、子どもたちと旅を続けているのか、フォトグラファーへのアドバイスと共に聞いてみた。

 

家族みんなで放浪の旅に出ることになったきっかけは?

 

僕も妻のエリンも旅が好きだった。

2002年に結婚してからずっと定期的に休暇をとって一緒に旅行をしてたんだ。2007年、子どもを持つことを考え始めた時に、これが最後になるだろうと7週間の世界一周の旅に出た。でも出発してすぐに、子どもがいたからといって自分たちに限界を設ける必要はないってことがわかった。

子どもがまだすごく小さかった頃は、相変わらず休暇をとって世界中あちこちに行っていた。でもその度にオーストラリアのパースに戻ってこなければいけないし、それには相当の時間とコストがかかった。そこで2011年に家を持たない遊牧民のような暮らしを思いついた。最初エリンは「クレイジーだ」って思ったみたいだけど、2011年の暮れに最終的には賛成したんだ。

その頃僕らの子どもたちは2歳と3歳でタイミングもベストだった。すべての準備に5ヶ月かかって、2012年の5月にバリ行きの片道チケットを手に、戻ってくる計画もなくオーストラリアを発った。

 

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ブログTRAVEL WITH BENDERを始めたきっかけは?

エリンも僕も、最初は家族や友達と連絡をとる時に、同じ話を何度も繰り返さなくていいようにって始めたんだ。数ヶ月経つと、実は知り合いよりも見知らぬ人たちの方がたくさんブログを読んでいるということがわかって、エリンは個人的なことよりもより有益な情報を書くスタイルに変えた。

ブログは同時に自分たちにも役に立った。常に環境が変わり続ける中で、フォーカスするポイントがブレずに済んだんだ。自分たちの素晴らしい経験の数々を思い出すこともできるし、子どもたちがそれらを忘れたとしても、大きくなった時には家族のアルバムのようなものになる。

その点で行くと、ブログは雪だるま式に増え続けてる。この2年で僕らは45カ国以上を訪れて、サイトは毎月何万もの読者に読まれている。各国のテレビ番組にも出演したし、新聞や雑誌、影響力のあるウェブサイトにも取材されて、僕らのブログも賞を獲った。一連の出来事はまるでジェットコースターに乗ってるみたいだった。

 

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ブログは実践的なアドバイスや素晴らしい逸話、それに君の美しい写真であふれているよね。

写真の世界に飛び込んだのはいつ?カメラを手にしたきっかけは?

 

写真はずっと好きだったんだ。父が高校で写真を教えていて、子供の頃は放課後に彼が暗室でフィルムを現像するのを見るのが好きだった。

大人になってからはコンパクトカメラを使ってたんだけど、2012年の中頃、ブログの比重が高くなった頃にSONYのNEX-7を手にした。子どもたちの写真はもちろん、ブログのためにも質のいい写真を撮りたかったんだ。それ以来、写真により興味を持つようになって、写真ブログや雑誌を読んだり、できる限り学ぶようになった。元々、グラフィックデザインや編集の仕事をしていたから、画像の加工や編集は自然に覚えられた。

2013年の暮れ、ロンドンの地下鉄でカメラを盗まれて、初めてデジタル一眼レフカメラを手にすることになったんだ。選んだ武器はキヤノンのEOS 70D。これでよりフレキシブルに細かな調整もできるようになって、さらに写真に夢中になった。もっと早くに一眼レフカメラを使っていればよかったなって思う。

 

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自分の写真のスタイルをどう思う?制作のプロセスは?

 

写真は僕自身の延長だね。世界をどう見ているか、訪れた場所の要素をどう切り取るか、そのものだから。

僕は自分たちが「ホーム」と呼ぶこの美しい惑星にいつも驚かされているような、ポジティブな人間なんだ。だから写真のスタイルも活気があって、正直で、ちょっと奇妙な感じもあるけど、人を元気づけるようなもの。結局ボクは夢のなかに生きてるんだ。

小さな子どもたちと旅をすることはもちろん写真にも影響を与えてる。彼らはすばやく動くから、良いロケーションかどうか偵察するのにペースを上げ続けなきゃいけない。彼らが走り出す前にシャッターを切るにはたったの数秒しか猶予がないこともあるから、僕も素早くなろうとする。

スタイルについては、アーティスティック、コマーシャル、エディトリアル、いろいろなスタイルを混ぜてる。

ブログ用にはただすごくきれいなものではなくて、生で透明感のあるシーンを摂る。読者には良いことも悪いことも、僕たちの経験の正直な印象を伝えるようにしている。彼らが僕たちと一緒に移動しているような感じだね、読者もその正直さを喜んでくれている。

2014年は比較的速いペースで旅を進めていたから、チャンスがあればいつでもどこでも記事を書いていた(時には真夜中、時には列車や飛行機でという感じ)。

それでもブログに掲載する前に、全体のトーンの調整をする程度でも、かならずすべての写真を編集していた。写真の一枚一枚で生き生きとしたフィーリングを伝えることを目指していたんだ。ただその瞬間を切り取るだけではなくて、音や香り、エナジーも表現したいんだ。

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これまで訪れたところで気に入っている場所は?

すごくたくさんの素晴らしいところに行ったから、その中からさらに一番を選ぶのはむずかしい。

一握りに絞らなきゃいけないとしたら、東スイス、タイのチェンマイ(ランタンフェスティバル)、ギリシャのキトノス、オレゴン州のクレーターレイク、ベリーズのアンバーグリス・キー、フィリピンのボラカイ。

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この時点で気に入ってる作品は?

想像通り、山のように写真を持ってるんだけど、これがベストのうちの1つになるだろうな。

ギリシャのイオスでの信じられないようなサンセットで、こんなものはそれまで観たことがなかった。この写真ではその実感が出せていないけど、夢のようなキクラデス島で経験した、素晴らしい美しさを思い出させてくれるんだ。

 

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たくさんの場所や文化を見続けて、「ホーム」や「所有する」ということへの考えはどう変わった?

写真はそれらを感じる助けになる?

旅をはじめて早い段階で、そこがどこであれ僕等がいる場所が「ホーム」だとわかった。正確な住所や個人的な所有物に囲まれている必要はないんだ。妻と子どもたちがいればどこでもくつろげる。彼らがぼくにとっての引力であり、True North(目指すべき到達点)なんだ。

この世界の市民として、文化や言語、ジェンダーや宗教にかかわらず、出会う人すべてに繋がりを感じる。多くの場所に行くほど、僕らはみんな同じだと思える。お互いの違いを大切にして感謝しながらも、さらに理解を深めるために、そういった共通項を見出そうとしている。

写真への愛があるから、芸術的にそして職業的に、両方のやり方で勢力を注げるんだ。それによって見知らぬ環境においても親しみを感じることもできる。

 

 

子どもたちには経験からどんなことを学んで欲しい?

 

もし子どもたちが何も覚えていなかったら、この旅って意味はあるの?って質問をよく受けるんだ。

実際のところ、娘は僕よりもたくさんのことを覚えてる。(こわいくらいに) でも彼らが意識している記憶に関わらず、旅の中での彼らが経験したことは、どんな大人になるかを形作ると思う。

経験によって彼らは視野を拡げるだろうし、いろいろなことに共感し、思いやりを持ち、見知らぬことへの恐れを取り去るよう、自信を持てるようになると思う。結局旅によって、彼らはより責任感を持った、生産的で愛のある地球市民になる。

彼らにとってみれば、世界は怯むようなものではなく、より小さく親しみのあるものになる。

彼らはすでに世界中に友達がいるんだ。娘は最近、もうすぐやってくる自分の誕生日には世界のあちこちから友だちを招待したいって言ってるんだ。彼女にとってはそれがグアテマラでもバリでも、オーストラリアでも大した違いはない。

僕はすでに彼らの言葉や行動の端々にこの旅の成果を感じるし、彼らが人生においてどれだけ幸先の良いスタートを切っているかということに驚き続けてるよ。

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フォトグラファー志望の人たちに一言。

フォトグラファーになりたい人へのアドバイスは、自分自身に投資すること。

写真についてできるだけたくさんの本、ブログ、新聞や雑誌を読んで、自分自身をインスパイアし教育すること。僕も止むことなく学び続けているし、毎日腕を磨くために時間を割いている。いつでもより良くなるよう、自分を駆り立て、決して昨日や過去の成功に浸らないようにしてる。

もっと実践的なことで言えば、JPEGよりもRAWで撮影すること。僕ももっと早く始めていればよかったと思ってる。自分がいちばん扱いやすい画像編集ソフトを見つければ、自身のクリエイティビティを表現できるようになるし、自分なりの加工のフローも確立できる。相当量の写真を扱わなければならない時に、これは極めて重要なことだし、それがあればずっと生産的に時間を使える。

それからローカルの写真クラブでもインスタグラマーとのオフ会でも、どんな形でもいいから写真への情熱をシェアできる人たちと付き合いを持ったほうがいい。写真のヒントやコツをシェアして、お互いを励まし合えるのは最高の環境だから。きっとそこで最新のテクニックだって知ることができる。

 

Josh Bender Josh Bender

 

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