第4回 双眼鏡の選び方
この投稿は2018年7月27日にkeikoが公開しました← 過去の投稿へ次の投稿へ →

第4回 双眼鏡の選び方

双眼鏡の選び方は、ひょっとしたらバードウォッチングをするにあたって、最も難しいことの一つかもしれません。観察会に行けばベテランからのアドバイスを受けることができますが、お財布がビックリしてしまうような値段のものを勧められることもあります。
また、パンフレットを集めると細かな数値が並んだ表や何やら難しい専門用語が続き、初心者にはなかなかハードルを高い内ようのものもあります。

そこで、ここでは「どのような使い方をするか」という視点から、選び方を提案していきます。

 

1. 近所の公園や散歩で、散歩がてらに使う程度

散歩がメインで、これまで散歩だけだったのがちょっと鳥を観てみようかという「バードウォッチングはあくまでも、オマケの楽しみ」という感じならば、まずは散歩を楽しく続けられるようにすることが大事です。肉眼よりちょっとはっきり見えれば十分ならば、倍率よりも軽量化を重視して双眼鏡を選びましょう。

 

 

人の存在が常にある街の中では、野鳥は人に慣れていることが多いので、まずは軽さを重視してみてはいかがでしょう。郊外にお住まいで日の出前から歩く場合は明るさを追求したモデルも候補にいれたほうが楽しみは広がりますので、少し高価なものを選んでも後悔はしないはずですが、6〜8倍程度の小型双眼鏡で1〜2万円程度の製品であれば、どのメーカーでも明るさは十分だと思います。10倍にすると双眼鏡が捉えられる範囲が狭くなり、鳥を双眼鏡で見つけにくくなりますし、重さも増すのでお勧めはしません。

バンガードの小型双眼鏡Orros(オーロス)

頸から下げる場合は問題ないのですが、双眼鏡をポケットに入れて移動したいという方は、まず軽量なものを選ぶことが大切です。例えば、上着のポケット片側に図鑑と記録ノートを入れた重さとバランスの取れる重さを基準にしてもよいでしょう。

 

新聞や雑誌の広告、チラシなどで「手の平サイズで100倍!」など高倍率でズームができるものを見かけることもありますが、そういうものはレンズの明るさや色の再現力、ピントの合う範囲が少ないなどの点から、バードウォッチングには不向きです。価格がお手頃なので多くの人が入門機種として購入を検討する人もいるようですが、入手や使用は控えるほうがよいと思います。

 

 

2. これからバードウォッチングの時間をしっかり確保しようと思っている人

これから自分の趣味にバードウォッチングも加えて、あちこち出かけようと思っている方は、最初から長く使えるものを選ぶほうが“お得”です。この際、ちょっと奮発して、明るいレンズ(EDレンズという名称を使っているもの)を搭載した3-8万くらいのものを選ぶとよいでしょう8-10倍で自分にとって気持ちよく見えるものを選び、重さは次の段階で選ぶ順序がよいと思います。

バンガードのハイエンド双眼鏡Endeavor EDII(エンデバー)

 

 

3. どこでもいつでも、とにかく鳥をしっかり観たくて、“死ぬまでずっと”鳥を見続けていくと決めた人

 

なかなか初心者でここまで決意できる人は少ないと思いますが、強い決意を持ってバードウォッチングをしていくならば、価格が最低でも10万円以上、平均20-30万円のものがラインナップされています。日本のメーカーのもので非常に明るいレンズを搭載したモデルがありますが、ヨーロッパの光学機器メーカーが販売している“超高級双眼鏡”という選択肢があります。小型の双眼鏡でも明るいものや軽量化を重視したモデルもあります。

この価格帯では最初から10倍を買っておくというのも“アリ”です。おそらく8倍だと、そのうち「もう少し大きく観たい」という欲求がでてきます。最初から10倍を入手し、一つの機種を長〜く愛するという方が見受けられます。

 

 

4. ダハ型とポロ型

防水になっているものが多い“ダハ型”と呼ばれる2つの筒状が並んだような形状のものが、近年はよく選ばれています。

一方、ポロ型は近年モデル数が減って、選択肢がずいぶん限られています。ポロ型は防水を謳っていない機種がありますが、私が小学生のときに最初に買った日本製ポロ型双眼鏡は雨に濡れてもタオルですぐ拭いて、その日のうちにしっかり乾燥させれば何も問題がありませんでしたので、実際は防水と謳わなくても丁寧に使っていれば問題はないということでしょう。

防水型であっても、濡れたままリュックにしまって、次回のバードウォッチングまでそのまま、ということをしていれば、湿気が籠ったままとなり、やがて不具合が生じます。

人とはちょっと形の違うものを持ちたいという方は、候補に入れてみてはいかがでしょう。

右がポロ型、左がダハ型

 

5. 倍率について

双眼鏡で倍率は8-10倍というものが主流です。一般的に倍率が低いほうが視野は広がり、観察対象の鳥を視界に捉えやすくなりますので、バードウォッチング・ビギナーならば、8倍をまず候補しておくのがよいと思います。

もし、これまで双眼鏡に触れたことがほとんどないならば、6倍というものも視野が広く明るいため、鳥の姿を捉えやすいので、選択候補に入れてもよいでしょう。

早朝や夕方の観察もしっかりしたいという方は、10倍でも明るいレンズ(通称EDレンズと呼ばれる)を搭載したものを選ぶほうが、初期投資は大きくなりますが半永久的に使えますので、お勧めです。

 

 

6. ストラップ

双眼鏡の選び方で、私が他の人よりも重要視しているのが頸から下げるためのストラップです。私は肌が弱いため、このストラップの材質選びは慎重にしています。

以前は紐のように細いものが付属ではほとんどでしたが、最近は生地が速乾性のものや厚みや幅があって頸に負担の少ないものが増え、とても快適になりました。しかし、肌にあたる部分ですので、相性もあります。購入の最後でいいので、付属ストラップの形状や材質もしっかりチェックしましょう。

各社のストラップの幅。海外のメーカーのなかには、湾曲をつけているものもある

肌に触れる部分の拡大。材質も近年のものはかなり向上している

ストラップは、気に入ったメーカーのものや別売りの肩掛け型に交換もできるので、できるだけ頸への負担を減らし、観察に集中できるスタイルを整えましょう。

肩掛け型のストラップ

 

 

7. 手触りは意外と大事

お住まいの地域によっては、双眼鏡はネット購入がほとんどになっている場合もありますが、できるならば現物を触る機会を設けるとよいでしょう。そのときの重要チェック項目は、手触りです。

近年はメーカー各社でさまざまな材質のラバーコートを採用していて、手触りに違いがあります。屋外で使うことが多いバードウォッチングですので、手に馴染みやすいものを選んでおくことは、鳥たちとの貴重な出会いで、日の出前や日没後の寒い時間帯になったときに、とても重要です。

ちょっとツルツルしたものや、ざらっとしたもの、光沢の差等があります。どれが良く、どれが悪いというものではないので、自分に好みに合ったものを選びましょう。

各社様々な材質のラバーにしている

 

 

8. 重さチェックの重要性

登山靴を履くような山登りをしながらバードウォッチングもしようという方は、明るさだけではなく、軽さも重視した機種を選ぶように心がけましょう。登山は下りのときが一番怪我をしやすく、頸への負担の影響がでるのは行程を折り返した後です。試しの頸から下げてみて、「ちょっと軽すぎるかな」と思うくらいがちょうどいいです。

また、移動中に双眼鏡が強く胸に当たるような登山の場合は、意外と疲れを助長しますので、見え方よりもできる限り軽量モデルを選んでおくことが安全な下山につながります。

 

 

 

9. 車上荒らしにご注意を

車でバードウォッチングに行ったときは、車内に双眼鏡を放置しないようにしましょう。夏場は非常に高温になるため、レンズやボディのラバーに良いとは言えませんし、シートに置いたままなど、外から丸見えにするのは、車上荒らしを誘発する可能性が増しますので、危険です。「コンビニエンスストアでちょっとだけ」のお買い物のときでも、放置はしないようにしましょう。外出時は常に持ち歩くことをお勧めしますが、もしそれが面倒ならば、せめて車の荷室やグローブボックスに入れておき、外からは見えないようにしておくことは最低限しておきましょう。車外から見える場所にも置くのは「盗んでください」と言っているようなものですので、絶対にやめましょう。

シートの上に置くのは丸見えですから、やめましょう。

フロントガラスから見える場所にも置くのは、防犯とラバーが高温になるので絶対にやめましょう。

 

 

10. 防振型双眼鏡について

2000年代になって、防振機能を取り入れた双眼鏡が発売されました。手ぶれ補正の機械を作動するために乾電池を入れるため、やや大型化して重量が増すため、頸への負担は大きいと思います。そのため、車で主に移動するバードウォッチングや、船に乗って海鳥を観察するときなどに揺れが多い状況で使用する頻度が多い方にはお勧めです。

次回は望遠鏡を紹介します。

 

画像協力:ホビーズワールド

 

 

 神戸宇考野鳥画家 神戸宇孝(ごうど うたか)

プロフィール1973年石川県生まれ
英国サンドーランド大学自然環境画学科卒。

5歳の時に野鳥観察に興味を持ち、野鳥画は小学生の時に動物画家の薮内正幸氏の絵を見て描くようになる.CWニコル氏のものの環境管理について学び、2000年英国に留学、野鳥生物を描く基礎を学ぶ。在学中、野鳥雑誌BIRDWATCH野鳥画コンペティションに最優秀画家の一人に日本人としてはじめて出される。野鳥の行動や環境と生き物のつながりを観察するのがモットー。

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