2014年のResource Magazineに掲載されたバンガードプロのロブ・ウッドコックスのインタビュー。
ロブは2013年、ハリウッドの映画監督ロン・ハワードとCanonによるProject Imaginat10nにて、アメリカ各地でワークショップを開催するThe Wild Onesという彼の活動についての作品で入賞を果たした。
彼のシュールリアルな写真に対する風変わりなアプローチと、意欲的なフォトグラファーたちへのアドバイスを紹介。
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The Wild Onesにはどのように参加したの?初めにプロジェクトに加わるようアプローチしてきたのは誰だった?
2013年の夏、仲の良い友達3人とフォトグラファーの仲間たちが最初のWild Onesツアーを企画したんだ。
アメリカを13,000マイル旅しながら8ヶ所でワークショップを開催するツアーだった。
それまで数年の間、ワークショップを開催したいと夢見てたから、ツアーに参加したいと思ったんだけど、当時の仕事の関係で叶わなかったんだ。
ツアーが大成功して2年目を計画していた時にチームに声を掛けられた。その時には自分が望むキャリアを追求するためには、つまり写真のためには仕事を辞めるべきだってわかってたんだ。
ツアーで他のフォトグラファーにはどんな知識を伝えたかった?キャリアの中では誰かに同じようなアドバイスを受けたことがあったの?
旅をしながらあらゆる生徒たちに教えてる時、僕はどんな人でも、どんな文化的環境にあっても、それが大きかろうと小さかろうと、彼らは望む道を追求できるということを伝えたかった。
生徒の多くは写真を始めたばかりの若い人、あるいはインスピレーションを取り戻そうとしているベテランの人たち。参加者の多くが彼らがやりたいことに飛び込んで、冒険する勇気に欠けていた。
だからもし僕らの努力や奮闘が参加者を勇気づけて、彼らがさらに熱心に制作し、個人個人の夢に向かうようプッシュできれば、それはつまり成功だなと思ったんだ。
僕が学生の時は新しいことを実験して、挑戦し続けるようにプッシュしてくれる、協力的な友達や先生に恵まれてとても幸運だったんだ。趣味レベルの興味だった写真にあっという間にとりこになってそして情熱となった。それを今は他の人に広めることができてやっぱり幸運だと思う。
僕たちWIld Onesの大きな目標のひとつは短い時間で知識を共有してそしてコミュニティを去ることよりも、むしろ行く先々でコミュニティを立ち上げることなんだ。そしてそのコミュニティと時にオンラインで、時に個人的な関係で、年月が経っても繋がり続けること。一度だけのWIld Oneじゃなくて、ずっとWild Oneなんだ。
今はどんなワークショップで教えているの?
Wild Onesはファインアートとポートレイトを作り上げることに特化し、始まりから終わりまでの制作のプロセスを見せながら2日間のワークショップを展開してる。
1日目はサラ・ロレース、ジョエル・ロビンソン、シェーン・ブラックと僕がモデルを使ったライブシューティングのデモをするんだ。スタイリングやメイクアップも含めて。僕らのシューティングロケーションはすべてそれぞれの街で見つけたとっておきの美しい屋外、自然の中。その後、生徒たちは実際にモデル撮影をして、自分のポートフォリオを制作する機会を得るんだ。
2日目はマーケティングやソーシャルメディア、ビジネスの展開に重きを置く。基本的にはアーティストとしてどうやって生計を立てていくかということを話す。その後に、かなりディープな画像編集のデモンストレーション、それから生徒たちとマンツーマンで彼らの作品を仕上げていく。
2日間で生徒たちは僕達が何をどうやっているのか、あらゆる角度から見ることができるんだ。
これまでのツアーで気に入った場所は?思い出に残っていることはある?
お気に入りの場所を選ぶのはすごくむずかしいな。
訪れたすべての場所には愛すべき優しいホストたちがいたんだ。生徒全員がクラスに参加しようと、精一杯熱心で意欲的だった。
ずぶ濡れになった2つの思い出があるな。まず1つ目はボストンでのワークショップでのこと。初日の撮影がほぼ終わりかけた頃、生徒たちも全員撮影できたんだけど、多くがさらに撮影を続けたがったんだ。ついにはニックという一人の生徒が、みんながもっと面白い写真が撮れるよう、近くの小川に飛び込むと言い出した。そうしたらもう一人レクシーという生徒も参加するようそそのかされて、結局二人は僕らが制作している間、寒さに苦しむことになった。(笑)
もう1つも同じようなシチュエーション。一日の終わりかけのところに、今度は生徒みんなでモデルの1人と僕に水に入るよう頼んできたんだ。ただこの時は水が汚い沼のようなところで、中に何がいるかもわからないようなところ。言うまでもなく、折れてもらえず、アートのためにびしょ濡れにならなきゃいけなかった。
作品は幻想的なアプローチで、ネバーランド風の描写の”Lost Boys”を思わせるね。何にインスパイアされてこのスタイルに?
僕はいつも想像にふけっていて、他の人に比べてちょっと違う風に世界を見ていた。
子供の頃、いつも頭のなかに作り上げた街や場所の地図を描くのが好きだった。時々は、自分で想像した海や地中の虫の世界、いつか住むことになるかもしれない大きなお城なんかを描くことも好きだった。
別の世界をつくり上げるこの傾向が、写真においてのクリエイティブな決断に転嫁してると思う。
それに表現のために現実の境界線を曲げることを恐れない、確立したフォトグラファーたちの作品を見ることで、自分もたきつけられるんだ。
インスパイアされた特定のフォトグラファーはいる?
新旧問わず僕を最もインスパイアしたのはリチャード・アヴェドン、ティム・ウォーカー、ユージニオ・レキュエンコ、アニー・リーボヴィッツ、オレグ・オプリスコ、アレックス・ストダード、ロージー・ハーディー、それにブルック・シャイデン。
制作のプロセスについて:アイデアを思いつくところから撮影、そして編集過程などについて教えてくれる?
アイデアの出し方はいろいろあって。時々きれいで暗くて、抽象的な環境にいると、そのスポットでの起こりえるヴィジュアルを想像したりもする。そういう時はその場でコンセプトを撮影するんだ。
でもだいたいはロケハンに行って、後でアイデアを暖められるようにスポットを覚えておくんだ。
しばしば時間をとって音楽を聞いたり、森のなかを歩いたりして、あらゆる環境でのシーンを心に描けるように気持ちを漂わせることもあるよ。
ひとりで考えるこの空間や時間が、アイデアの断片を組み合わせて1つのイメージにするんだ。
アイデアを思いついたら、日記にしたりして後から参照できるよう、コンセプトリストにする。
気に入ったコンセプトに時間をとってそれを自分の中で拡張させて、育てる。その間は必要なリソースを集める時間でもあるんだ。
コンセプトができたら、たいてい実際の撮影は1時間もかからないよ。
すごく大きなセットを使ったり、撮影中にたくさんの変更がない限りはね。
でも通常は僕は自分がしたいことがわかってるから、比較的早く撮影ができるんだ。
画像編集用にいくつか余分に撮ることもあるよ。空が望むほど空いていないとか、あるいは何かしら浮かせようとかそんなときのためにね。
画像処理の手順はイメージの複雑さによってまったく変わるんだけど、それでも1つの作品に最低2時間はかけるし、複雑な編集なら最長で15時間かかることもある。
向上心のあるフォトグラファーたちへのアドバイスを。
さっきも言ったことだけど、夢とキャリアへの欲望をあきらめないこと。
アーティストとして進歩するために、本当に楽しんでやっていること、やってみたいことだけをほかの人とシェアした方がいいと思う。
もしシニアポートレート(北米で大学で最終学年の始めに撮るポートレート)ではなくエンゲージフォトが撮りたいなら、エンゲージフォトをシェアする。もしエンゲージフォトではなくファインアートをやりたいなら、それをシェアする。
最初から自分のアイデンティティを確立するんだ。
人々はその君の初期の活動から形作られるビジョンで君を捉える。自分自身になることを恐れないで、自分の内側から創作してほしい。
そうすることで、君たちが最高に充実した日々が送れると信じてる。
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