これまでの一眼レフカメラから、システムを完全にミラーレス化したある日、ふとこんなアドバイスをもらいました。
「村上さん、カメラが小型化したならバッグも小さくしてみませんか?」
お恥ずかしながら目からウロコが落ちる思いの一言!思わず、「確かに!」とうなずいてしまいました(笑)現在のメイン機材はEOS R5とEOS R6なのですが、いずれの機材も一眼レフ時代に比べてだいぶスマートになりました。さらにRFレンズについても、小型化されたレンズもあり、特にRF70-200mm F2.8L IS USMについては、EFレンズの同クラスレンズと比べてびっくりするほどコンパクトになっており、正直なところ、今まで使っていたカメラバッグではスペースが余っている状態でした。そこで今回思い切って導入したのがこのVANGUARD VEO RANGE 38です。使い勝手やコストパフォーマンス、機能性が大好きでVANGUARDのカメラバックを使うようになってもう10年近くになりますが、これまで使ってきたバッグの中で最もスマートなカメラバッグです。最近では多くの機材を持ち歩いての撮影行よりも、列車に乗って旅をしながらスナップするような撮影が多く、そうした時にもスマートなカメラバッグはありがたい相棒です。
とは言っても、やはり持ち歩きたいレンズもあるので、収納性と持ち運びのスマートさの双方から考えて導入したのがVEO RANGE 38というわけです。
泊りがけの撮影の場合、着替えやPC、バックアップを撮る際に使うポータブルSSDなどをリュックに入れて背負って移動するのが僕の旅スタイル。キャリーバッグだと、片手が塞がるため、基本的にはリュックで旅をしています。そんなことから、旅行時のカメラバッグについては肩掛けタイプを愛用しています。また、リュックタイプに比べてカメラの出し入れをスピーディーに行えるのも、スナップを多く撮る僕にとっては欠かせないメリットです。VANGUARDのカメラバッグの中でも特にお気に入りなのが、上カバーを開けなくても、上カバーのファスナーだけ開けることで瞬時にカメラを出せるポイントです。この利便性に慣れてしまうともうほかのバッグには戻れません(笑)防犯面から機材をあまりオープンにしたくないような海外旅行時などにも大活躍してくれています。
そんなVEO RANGE 38ですがよりユニークなのが「2階建て構造」になっていること。僕がこのバッグに収納しているのは、RF15-35mm F2.8 L IS USM、RF24-105mm F4 L IS USM、RF70-200mm F2.8 L IS USMに単焦点の35mmと50mm、そしてボディ2台です。そのうち1台はRF24-105mmに着けたまま収納しています。レンズを着けたまま収納できるかも、僕にとってはカメラバッグ選びの必須条件。写真ではバッテリーグリップを付けていませんが、バッテリーグリップを付けた状態でも収納は可能です。使用頻度の高い15mmから200mm域をカバーする3本をバッグの「2階」に、「1階」にはサブのカメラ、35mm、50mmを収納しています。中敷がかなりしっかりしているのに加え、クッションを追加しているので、1階部分の収納スペースも安心です。
写真家になってから僕のカメラバッグ史の中で最もコンパクトなVANGUARD VEO RANGE 38ですが、実用的な収容力とコンパクトさが気に入っています。
カラーはベージュとネイビーの2種類がラインナップされている
これが僕が愛してやまない上カバーのファスナー部分。カメラがすぐ取り出せる!すぐしまえる!!
背面部にはモバイルPCやタブレットを収納できるスペースがある。僕はよく使う取材腕章などを入れている
フラップ部分のポケットにはレリーズや予備バッテリーなどの小物類を収納
こちらが「1階部分」。前のファスナーを開けるとバッグの前からも出し入れ可能
列車の荷物棚にもらくらく収納できるサイズ
村上悠太(むらかみ ゆうた)
1987年鉄道発祥の地新橋生まれでJRと同い年の鉄道写真家。日本大学芸術学部写真学科卒業。「ひとと鉄道、そして生活」をテーマに、カメラ誌、鉄道誌やセミナー等で作品を発表。また東京都営交通の公式撮影も手がける。高校時代には毎夏、北海道上川郡東川町で開催される写真甲子園に出場。写真だけでなくEOS MOVIEによる動画作品も制作し、「てつ動画」シリーズとしてYouTubeとキヤノンオフィシャルWEBで発表。2016年に鉄道写真+動画展「てつ動展」、2017年に写真展「つなぐ旅」を開催。日本鉄道写真作家協会事務局長、キヤノンEOS学園講師。