By バンガードプロ:レヴィ・シム
PhotoFocusのオリジナル記事
(よりたくさんの参考画像が掲載されています)
そう、僕は知ってる。
あちこち動きながら撮るし、フレーミングし直すし、子どもを追いかけなきゃいけないし、はっきり言って邪魔だし、機動力に欠けるし、ポートレート撮影で三脚なんて使えない!ってみんなが思ってることは知ってる。
どの理由もぜんぶ聞いてきたし、僕も前は同じことを言ってたんだ。
どんな撮影でも必ず三脚を使うという努力をするまで、僕だって本当にそれが必要とは思っていなかった。
今や僕は三脚なしにはいい写真なんて撮れないし、表現はより本物に近づき、keeper rate(きっちりとフォーカスが合っている率)は遥かに良くなった。
あの黒くて重い箱(カメラ)を顔の前からどかすこと、それでみんなのポートレート撮影はよりよいものになるんだ。
とはいっても難しい!
鉄の棒を加えるためにこれまでの方法を変えるなんてすごくタフだ、ってことも僕は知ってる。
そこで3つのヒントを紹介する。
1. ボールヘッドを使う
三脚につけている雲台はつまりカメラを取り付ける場所であって、ボールヘッドは普通ひとつのノブでカメラを開放できる。
つまり素早くポジションを変えることもできる(自由に動くボールにソケット状に繋がっているからボールヘッドって呼ばれてるしね)。
僕は3ウェイ雲台はおすすめしない。
棒の刺さったスプートニク(人工衛星)のような見た目で、アングルの変更にすごく場所をとるんだ。
パンヘッドはボールヘッドにくらべてより正確だけども、僕の場合ポートレートにその正確さは必要なくて、むしろシンプルさが大切。ボールヘッドにもいくつかノブがあるかもしれないけど、テンションを変えるものや、水平回転のロックくらい。
とくにメインのロックノブがピストルグリップになったグリップヘッドが気に入っている。
握るだけでカメラのポジションが調整できるからね。
2. 正しい場所に脚を設置する
このヒントは2つに分けられる。1つはTony Corbellから学んだ。
もし君が三脚を使ってみようとするなら、3本のうちの1本の脚はレンズと同じ向きに出すこと。
これによって他の2本の脚に邪魔されることなくカメラに近づける。
簡単な事だけど、これによってトラブルは減るし、「やりにくさ」も軽減する。
2本目の脚の置き場所についてのヒントは数千ドル以上の価値がある。
もし君がスロープや階段なんかの勾配のある場所で仕事をするとしたら、1本は必ず低い方に設置すること。
これによってカメラの重さは三脚の中心からずれて、より安定感が増す。
もし2本の脚を下り坂や低い方へ設置すると、カメラの荷重はその2本の脚の上にかかり、踏ん張ることもなく簡単にひっくり返ってしまうだろう。
(オリジナルの記事に参考画像があります)
3. 一番下の段から脚を伸ばす
これは今まで聞いてきた三脚の使い方とは反すると思う。
三脚のポイントは「安定感」、そうだろう?
だからみんないつだって一番太い脚から伸ばす。
最も安定感があるから ---もし一番下の細い脚から伸ばしたら、安定感はより低くなる。
でも、ポートレートに関して言えば、カメラを安定させることがゴールじゃない。
君がカメラの後ろから出てきて、被写体と接して、本当の表現を引き出すことが大切。
大抵ポートレートでのシャッタースピードは一番細い足を使うことで生じる少しの揺れに対しては充分速い。
一番下の脚から伸ばすことがなぜ大切かとい言うと、三脚全体の高さの調節がすごくシンプルに簡単にできるから。
すべてのロックに触る必要もない。
もし教えられてきたルール通り、太い足から順に伸ばし、一番細い段を最後に伸ばすとしたら、実際高さの調節はすごく面倒だし時間もかかる。何より三脚を使う魅力さえ半減する。
さぁ、ルールなんて忘れよう。三脚を使うことのメリットの方が大切だ。
最後にもう一つ
自分に合った高さの三脚を使うこと。
高さの足りない三脚で仕事をしようとするのは哀れなことだよ。
僕の身長は180cmだから、150cmしかない三脚にかがみこんだらたちまち腰を痛める。
気に入ってる三脚は自分の身長よりも高く伸ばせるんだけど(オリジナルの記事に画像があります)、これは重要。
僕は自分よりも背の高い被写体を撮ることがよくあるし、その場合は彼らの目線の高さにカメラを置く必要がある。
それからもし三脚を買う時に、それが買う価値があるかどうか判断するシンプルな方法は雲台が三脚から取り外せるかどうか。
脚と雲台を別々に買うか、キットで買うかどちらにせよ、雲台は交換可能な方がいい。
こういったことはカメラ店では当たり前のことだけど、ホームセンターや家電店なんかではそうでもない。
それからカメラと三脚の相性は考えなくても大丈夫。
一般的にはカメラネジの規格は決まっているから、どのカメラでも装着できる。
まとめ
これまでのやり方を変えるわけだから、慣れるのにいくらか時間はかかる。
でもボールヘッドを使って、脚を正しいポジションにセッティングして、適切な高さに調整しさえすれば、三脚を使う時間も確実によりよいものになる。
終始カメラを手持ちしなくていいから、背中や腰が痛むこともないし、光量が少なくても画がブレることはないし、必要があればポートレート撮影後にいいショットを選んで、首から上を合成することもできるんだ。
(合成の手順はこちら)