ヤング探鳥会とは?
バードウォッチングや野鳥観察会へ行くと、60-80代のご年配の方々が多いのですが、親子連れから40代くらいの方々が中心の若い世代を対象とした観察会があります。日本野鳥の会の一部の支部で行われている『ヤング探鳥会』と呼ばれるものです。関東地方の支部が始め、最近はいくつかの支部で行われています。お住まいの地域の野鳥の会支部でヤング探鳥会が行われているかどうかは、「ヤング探鳥会」「ヤン探」のワードで検索してみてください。
ヤング探鳥会に参加してきました!
私がお邪魔したのは、日本野鳥の会埼玉が行なっているヤング探鳥会です。開催場所は埼玉スタジアムに近い見沼自然公園という、池と林のある公園。当日(2月16日)はあいにく小雨のぱらつく空模様でしたが、18名もの参加者がいらっしゃいました。
時折小雨の中でも、鳥がいれば気にならない!?
じっくりと観察する人が多い
近年は野鳥を撮影する人が増えて、バードウォッチング・スポットでは野鳥カメラマンが多く、シャッターの音が頻繁に聞こえることもしばしばですが、ヤング探鳥会では、双眼鏡や望遠鏡で観察をしっかりとされている若い世代が多く、とても和やかな雰囲気でした。バードウォッチングを始めたばかりの方もいましたが、そういう方々にリーダーの方に加え、参加者同士で「望遠鏡に入っているのでそれを先に見て!」「こちらのほうが見やすいですよ」と声を掛け合って、みんながしっかりと観察できる雰囲気づくりをしていて、初心者の方でも、しっかりとバードウォッチングできる環境がとても整っていると感じました。
望遠鏡も皆で譲り合って観察
双眼鏡の使い方をマスターできる!
若者同士で、初めて参加された方に、双眼鏡の使い方をしっかりとレクチャーをしている光景も見られました。双眼鏡は「覗くだけ」だけと思っていた雰囲気だったその方は、目の幅の調整と両目のピントがしっかり合うように教えてもらえたことで、持ってきた双眼鏡の良さと、しっかりした双眼鏡を手に入れる重要性の二つをしっかりと理解されていました。
鳥合せでは…
日本野鳥の会の探鳥会の後は、鳥合せ(その日に観察された種類を確認する作業)がされます。埼玉のヤング探鳥会では、受付の時に配布された鳥のチェックリストを基に行うので、仮に図鑑などがなくても大丈夫です。観察できた場所や観察ポイントなどのおさらいをしました。この日の注目種は珍しいトモエガモ。皆で観察できたことを確認しました。
当日観察したトモエガモ
鳥合せの風景
終始、和やかな雰囲気が非常に良い
今回参加してみて、ヤング探鳥会は非常に雰囲気が良いと感じました。初対面同士でもリーダーの方々の声がけで無理のない距離感で少しずつ打ち解けていく感じがありました。これならば、初めて参加される方でも楽しめますし、またバードウオッチングに出かけたいという気持ちになると思いました。リーダーの方から次回のヤング探鳥会の案内がされると、参加者の皆さんは皆ご自身の予定を確認して、楽しみにしておられました。
日本野鳥の会埼玉のヤング探鳥会担当の廣田純平さん(30代)に聞きました
- (神戸)ヤング探鳥会の始まりは?
→(廣田さん)
日本野鳥の会の探鳥会は比較的ご年配の方が多く、若い世代の中は敬遠している方もいたようです。探鳥会は多くの人にバードウォッチングの楽しさを伝えるための会なのにそれではいけないと、東京支部の石亀さんという方が10-40代くらいの方々をゆる〜く『ヤング』とし、ヤング探鳥会の基礎を作りました。埼玉支部はそれを応用した会になっています。現在も東京は活発に活動していますし、埼玉は東京の隣の県ですので、特に大きな違いも設けることはせずに、相互に「若い世代でバードウォッチングをしたいという方々」の受け皿になるような観察会にしたいと思っています。
スマホに保存したカモの翼の羽毛を見せる廣田さん
-(神戸)参加者の皆さんの反応はいかがですか?
→(廣田さん)
「ヤング探鳥会だから来た」という声を多く聞いています。また参加してもらえるように、楽しい雰囲気づくりには気をつけています。
−(神戸)雰囲気作りとは?
→(廣田さん)
埼玉のヤング探鳥会では、「一緒に見て、楽しむ」ことに基軸を置いています。もちろん、解説などもしますが、その場合は野鳥の専門用語は使わず、分かりやすさを優先しています。
− (神戸)その成果のようなものはありますか?
→(廣田さん)
埼玉のヤング探鳥会の参加者は、女性と家族連れが多いように感じています。よく参加してくれるリピーターの方々が、初めて来た方にさりげなく声がけをしてくださっている風景をよく見ます。参加者の方が良い雰囲気作りをしてくださっているのは、とてもありがたいです。
日本野鳥の会埼玉提供
−(神戸)ヤング探鳥会の担当になって興味深いと思ったことは?
→(廣田さん)
最近は人の繋がりはSNSが先になることがありますが、その交流の「実際に会う場所」となっていることが多いのは意外な発見でした。今の若者たちのFacebookやツイッター、ブログでの情報交換は非常に密ですが、実際に会うとなると、ヤング探鳥会が初めてということがあるようです。そういうFace to Faceの交流をこの探鳥会で深めているのは、嬉しいことです。
実際の顔合わせができるメリットが大きいヤング探鳥会
−(神戸)これから参加しようと思っている方へのメッセージをお願いします
→(廣田さん)
埼玉Young探鳥会では、鳥を見る探鳥会に加えて、鳥を楽しむ切り口を多角的にしようと、さまざまな企画を催しております。最近では、ご家族連れや若い女性に人気の「鳥の消しゴムはんこを作る会」、「羽毛を勉強する会」、そしてこの連載を執筆されている神戸宇孝氏を講師に招いて「鳥のスケッチ」する会をしております。
日本野鳥の会埼玉提供
その効果か、これまで日本野鳥の会埼玉を知らなかった若い方にも、名前を知ってもらえるようになりました。また鳥に詳しい若い参加者も多いため、探鳥会で参加者同士の情報交換をして野鳥の識別方法や観察のステップアップの場にもなっています。
最近は不定期ながら「交流会」を開催し、これからの季節のオススメ探鳥地情報など、鳥についての情報交換会も行っていますので、お時間のある時に、参加したいと思われた企画に、まずは足を運んでいただけたら嬉しいです。皆さんのご参加をお待ちしております!
三宅島へ行った時の様子 日本野鳥の会埼玉提供
日本野鳥の会埼玉ヤング探鳥会サイト
http://www.wbsj-saitama.org/yantan/yantan-1.html
(日本野鳥の会埼玉提供)
野鳥画家 神戸宇孝(ごうど うたか)
プロフィール1973年石川県生まれ。 5歳の時に野鳥観察に興味を持ち、野鳥画は小学生の時に動物画家の薮内正幸氏の絵を見て描くようになる.CWニコル氏のものの環境管理について学び、2000年英国に留学、野鳥生物を描く基礎を学ぶ。在学中、野鳥雑誌BIRDWATCH野鳥画コンペティションに最優秀画家の一人に日本人としてはじめて出される。野鳥の行動や環境と生き物のつながりを観察するのがモットー。 |
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