バンガード双眼鏡 HDかEDか

バンガード双眼鏡 HDかEDか

 

VEO EDか?それともVEO HDか?

 バンガード双眼鏡 HDシリーズかEDシリーズのどちらを選ぶか、迷っている方へ。

 「野鳥画家 神戸宇孝が語る! バンガード双眼鏡の選び方」

 

 

 自分に合う双眼鏡探しというのは、とても難しいものです。倍率はなんとなくイメージができても、スペック表を見て自分に適した双眼鏡をすぐに選べる人は多くはないでしょう。初心者ならば、なおさらです。

 

 

 しかし、野鳥たちとの出会いを楽しむうえで、双眼鏡は非常に重要なアイテムですので、選択に失敗はしたくないものです。

 

 価格帯が近い双眼鏡VEO EDシリーズとHDシリーズで、まず皆さんが迷うのは、自分にはEDシリーズが良いのか、それともHDシリーズが良いのか?という点ではないでしょうか。始めに、スペック表からわかるそれぞれの機種の良い点を2つずつ挙げてみます。

 

 

●EDシリーズの長所

  1. HDシリーズよりも価格が安い→お財布に優しい
  2. HDシリーズよりも重量が軽い→首への負担が少ない

 

●HDシリーズの長所

  1. EDシリーズよりも視界が広い→鳥が探しやすい
  2. EDシリーズよりも最短距離が近い→散策路を外れずに植物や昆虫の観察もできる

 

●それぞれの重さ

 私の母も自然観察をするのが好きだったのですが、重い双眼鏡が本当に苦手で、少しでも軽い双眼鏡をいつも探していました。首にカメラなども合わせて下げることが多い方や重いものが苦手な方は、重さを双眼鏡選択の基準の一つにされるのも良いでしょう。EDシリーズHDシリーズよりも軽い機種になっていますので、「とにかく少しでも軽いものが欲しい」という方はEDシリーズがお勧めです。

 

●大きさ

 実際に並べてみると、EDシリーズHDシリーズよりもわずかですが小さいのがわかります。同封されたストラップでの観察をするのであれば、より軽くてリュックの中を少しでもコンパクトにできるEDシリーズのほうが良いでしょう。 

 左)VEO ED 右VEO HD

●持ちやすさ

 実際に野鳥を観察するときに、双眼鏡の持ちやすさがブレを軽減します。EDシリーズHDシリーズは、掴んだときの指の配置が異なりますので、「どの指の配置がご自身に合うか」という点についても、ぜひ事前に検討をされると良いでしょう。

VEO HDシリーズをつかんだ指の配置

 

VEO EDシリーズをつかんだ指の配置

 

 手の大きさも個人差があります。指の配置に加えて、どの程度双眼鏡をしっかりつかめるかも持ちやすさを左右します。私の手のサイズがわかるように500mlペットボトルを掴んだ画像を掲載しておきますので、それぞれの双眼鏡選択の参考になれば幸いです。 

 

●視界と明るさ

 実際のバードウォッチングでは、姿が見つけにくい状況もよくあり、声がした方向へ漠然と双眼鏡を向けて探すこともしばしばです。倍率は、同機種ならば、10倍よりも8倍のほうがレンズは明るくて視野も広く、鳥を捉えやすくなりますので、双眼鏡の扱いにまだ慣れていないのであれば、8倍をお勧めします。双眼鏡を覗いた時の視界が広ければ、鳥の姿を捉える可能性も高くなりますので、購入したい倍率がすでに決まっていて、EDHDかでお悩みであれば、ED に比べると実視界の数値が大きいHDのほうが観察では満足度は上がります。

 野鳥との出会いで「見え方のクオリティ」を重視する方にHDはお勧めです。また、HDEDでスペック表の数値の上では明るさは同じですが、特に晴れた日の森の中で見比べるとHDのレンズのほうが葉の反射などの照度差を和らげているように見える(明るさのコントラストが弱くなって、目に優しく感じる)ことがあり、双眼鏡で捉えた視界内で鳥の姿を見つけやすい印象がありました。

 

●シャープさ

 画面が鮮明であれば、ピントが合った時に鳥の模様が詳しく見えたり、何を食べているかがわかることもあります。そのためにはレンズの性能が重要になるのですが、やはりこれは値段の高いHDのほうが、よりクリアな画像になっています。 

光学機器の値段はレンズの性能に対して非常に正直だと感じます。光学機器メーカーの回し者のような表現になってしまって申し訳ないですが、迷った場合は高い方を購入しておくのが良いと思います。

 

●焦点距離の近さ

 焦点距離が近いことにも、大きなメリットがあります。例えば湿原の木道などのわきに咲く花を観察したいときに、双眼鏡で観察すると、肉眼だけでは見えていない細かな様子がしっかりと確認できます。鳥が少ない時間帯などでは、そのような自然観察の時間が、その日の充実度を上げてくれることも多いので、鳥以外の自然にも目を向けていきたいと思う方は、この焦点距離のEDよりも数値が小さいHDが良き相棒となるでしょう。

 

●双眼鏡オススメ・アイテム2選

購入する双眼鏡が決まった場合、ユーザーの一人としてオススメのアイテムが2つありますので、ご紹介します。

 

●ハーネス

3つのカラーから選択できます。
VEO OPTIC GUARD H DLX BK
VEO OPTIC GUARD H DLX BR
VEO OPTIC GUARD H DLX GR

  バンガードの双眼鏡付属のストラップでも十分快適なのですが、私は生来肌が弱く、一日ずっと首から下げるタイプのストラップだと、首の後ろが荒れてしまうことがあります。特に汗のかきやすい夏はその傾向があり、肩掛けタイプのハーネスは大変便利です。双眼鏡の重さが肩の2ヶ所で分散される上に、重さのかかる部分が幅広くなるため、双眼鏡が実際の重さより軽く感じるのも気に入っているポイントです。バンガードのハーネスは双眼鏡が簡単に脱着できるので、とても便利です。

 

●ビノキュラー・アダプター

BA-185 双眼鏡三脚アダプター

 

 双眼鏡での野鳥観察では、時々手振れが気になってしまうことがあります。また、荷物の減量や軽量化をしたい場合などは、望遠鏡を持ち歩くのは億劫なこともあります。そんなときは、一脚や三脚に双眼鏡を装着するのも一案です。日本では、双眼鏡を一脚や三脚などに据えて観察している人はほとんど見かけませんが、海外ではよく見かける光景です。実際に使ってみると、手振れがないだけで同じ双眼鏡とは思えないほどによく見えますし、望遠鏡による片目での観察よりも目の負担も減らすことができて、とても快適です。移動の際にも三脚を担いでも非常に軽いために疲れにくいです。ビノキュラー・アダプターを使う場合は、重さを気にする必要がなくなるので倍率がなるべく大きいものが威力を発揮します。

 

●最後に

 どんな双眼鏡でも、使いこむと愛着が湧くものです。そして、実は一番楽しいのは「何を買おうか」と悩んでいる時だったりします。

 

 私は仕事柄、複数台の双眼鏡を所有しています。私が小学3年生の時にお小遣いを貯めて買った最初の一台だけ約20年使用して交換部品がもうなくなってしまって引退せざるを得なかったのですが、そのあとに買った双眼鏡が全て現役で活躍中です(一番古いものは、2000年購入)。そのくらい、双眼鏡は丁寧に使えば長持ちするものです。時には、炎天下や潮風などといった双眼鏡にも過酷な条件の中で、出会いたかった鳥の特徴や行動を詳細に伝えてくれた私の双眼鏡たち。鳥たちとの出会いの思い出とともに観察をサポートしてくれたそれぞれに感謝の気持ちでいっぱいになります。皆さんも、ぜひ自分の気に入った双眼鏡を手に入れて、バードウォッチングライフを思う存分に楽しんでください。

 

 神戸宇考 野鳥画家 神戸宇孝(ごうど うたか)

プロフィール1973年石川県生まれ
英国サンドーランド大学自然環境画学科卒。

5歳の時に野鳥観察に興味を持ち、野鳥画は小学生の時に動物画家の薮内正幸氏の絵を見て描くようになる.CWニコル氏のものの環境管理について学び、2000年英国に留学、野鳥生物を描く基礎を学ぶ。在学中、野鳥雑誌BIRDWATCH野鳥画コンペティションに最優秀画家の一人に日本人としてはじめて出される。野鳥の行動や環境と生き物のつながりを観察するのがモットー。

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