1年目6月のおでかけポイント
No.03 板橋浮間公園
環境:森林・池
6月は雨も心配になってくる季節で、野鳥散策の予定を立てても「当日天気が悪かったらどうしよう」と不安になるのもしばしばです。しかし、現地で雲行きが怪しくなったら雨をしのげる場所を見つけたり、帰路につけるなど、その場での対処がしやすいスポットが多いのも、東京23区で野鳥観察するメリットです。今回は駅から3分で探鳥地の板橋浮間公園です。
先月の善福寺公園に比べると水面が広く、周囲の木々もやや少なめですので、冬にカモ類も観察しやすそうな雰囲気です。
さっそく茂みに鳥の気配。ゴソゴソ動くその頭には赤いものが。
先月も観察できたバンでした。こちらに寄ってくる様子なので、「またそばに雛がいて怒られてしまっているのでは」と不安になりましたが、その心配はなさそうです。池に浮いている人工物に巣を構えており、まだ卵は孵っていないようです。
池に浮いている人工物をよく見るとカルガモが休んでいます。
冬だといろんなカモの種類が来るはずなので識別に迷うのですが、この時期には都内で見られるのはカルガモがほとんどですので、嘴の先端の黄色が見えれば種類の判別は簡単です。
カルガモの前に突然プカッと浮いて行きた鳥がいます。カイツブリでした。
この後、すぐに潜ってしまい、見失ってしまいました。カルガモのようにのんびりしていないのですが、この時期に見られるということは、きっとどこかで子育てをしているのでしょう。先月もカルガモを見ていてバンを見つけたので、カルガモをしっかり観察することは、ほかの鳥に出会えるきっかけを与えてくれます。
駅から一番奥には立ち入り禁止区域があり、ちょっとしたアシ原が形成されていました。水際を望遠鏡で確認するとアオサギを発見。画面左下にいるのがわかりますか?
アオサギの忍び足を観察していると、「キュー」という大きな声が聞こえ、ハトよりも一回り大きな鳥が目の前を飛んでいきました。
アオサギ似た色合いですが、背中の筋模様がはっきりしていてとても美しい姿です。ササゴイでした。口角(嘴の根元部分)から伸びる模様がちょっと上向きになっており、ちょっと笑っているようにも見えます。
実はササゴイは近年数が減っている渡り鳥。カメラを構えている方がいたのでお聞きすると、ここ浮間公園では先ほどの立ち入り禁止エリアで繁殖しているとのことでした。
浮間公園はササゴイにとっても貴重な場所のようです。カメラマンの方がとても親切な方で、浮間公園で見られる鳥をよく知りたければ、奥に案内板があるよと教えてくださったので、さっそく見に行くことにしました。
ホワイトボードをよく見ると、ヨシキリの文字。広いアシ原を好むオオヨシキリがこの小さなアシ原にいるとは驚きです。耳を澄ますとオオヨシキリの声が聞こえたので探してみると、アシではなく木の枝に止まって鳴いていました。
地図を見ると公園の北側に荒川が流れているので、河川敷に鳥がいないか、土手から眺めてみることにしました。するとゴルフ場のネットにキジバトが止まっていました。記録ノートを見るとキジバトはまだ出ていませんでした。
上空を飛び回る鳥を探すには、視界が開けることが大事。ツバメがいくつか飛んでいましたが、よくみるとツバメよりも尾羽の短いイワツバメが飛んでいました。4月から始めた観察で初の確認!やりました。
池を周回して駅へ戻ろうとしたとき、たくさんのムクドリが赤い実にやってきている場面に出会いました。
図鑑に出ているムクドリに比べ、やや淡い茶色なので、若い個体のようです。簡単に見つけられる食べ物を前に必死に実をほおばっていました。
家に帰ってからこの赤い実の種類を調べると、ヤマモモという種類であることがわかりました。鳥の好む木の実がわかると、鳥と出会うチャンスが増えますので、鳥の食べている実があったら調べる習慣をつけておくとよいと思います。
今回観察できた種類は15種類。先月に比べると1種減ってしまいましたが、新しく4種類を確認。合計24種類の鳥を観察しました。スケッチもササゴイやバン、カイツブリなど水鳥がメインとなりました。
お勧め機種
大きな池のある浮間公園では、カルガモやバンは近くにも寄ってくるので、双眼鏡だけでも十分楽しめます。ただし、距離のあるササゴイの観察には望遠鏡があると便利。お子さん連れのご家族もいらっしゃるので、歩く時には三脚を閉じておくと、鳥を見る人も、鳥を見る人の周りの人もが気持ちよくなれます。