神戸宇孝さんの「らくらくバードウォッチング」No.11 新宿御苑

神戸宇孝さんの「らくらくバードウォッチング」No.11 新宿御苑

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1年目2月のおでかけポイント

No.11 新宿御苑

環境:池 森林

この連載を始めてもうすぐ一年。多くの方にご覧頂いているようで「楽しみにしています」という声を聞くようになり、そのなかで新宿御苑は冬に行くといいですよと教えていただきました。

入口でマップをもらい、まずは鳥が探しやすそうな池のほうに行ってみました。

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広い水面に鳥の姿はほとんど見当たりませんでしたが、岸辺には嘴の黄色いマガモがいました。

やがてマガモは泳ぎだして他の2羽と合流。1羽は羽が茶色で嘴の一部がオレンジ色の雌でした(真ん中)。この雌はモテモテですね。

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マガモのそばにカモが1羽、ぴょこっと浮き上がってきました。都内の池でよく見られるキンクロハジロです。脇の白がはっきりしているので、雄で間違いなさそうです。

キンクロハジロを観察しているうちに、マガモが岸辺に移動してしまいましたが、羽づくろいを続けており、雄の頭部の緑色や翼鏡(よくきょう)と呼ばれる、翼の一部に見られる金属光沢の部分が非常に美しく反射する角度で留まっていて、しばらくその色を楽しみました。
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入苑口のそばにあったインフォメーションセンターでオシドリがいることを教えていただいたのですが、私が最初に見た池では見当たらず、苑内で野鳥撮影をしている方にお聞きすると、入り口に近いほうの池の茂みの中にいるよと親切に教えてくださいました。さっそくそちらへ移動し、↑のあたりの茂みをチェック。

しばらく観察していると、枝の上に派手な色彩の雄が止まりました。こんなカラフルならば、もっと明るいところで自慢すればいいものを、なんで茂みの中が好きなのでしょうか。鳥の心は不思議です。

よく観察すると、雄が頸を上下させて雌に求愛ディスプレイをしています。

オシドリがいるということは、大好物のドングリがたくさんあるはずと思い、森の中も散策してみました。すると、すぐに林床にドングリだらけの場所が見つかりました。これだけあるならば、オシドリも毎日お腹いっぱいです。

オシドリも無事に観察できて、再度奥の池に行き、マガモを観察していると、右にオナガガモ(雌)と嘴の先端がしゃもじのように広がっているハシビロガモも現れました。しかし、よく見ると見慣れない模様のカモが左から泳いできました。

関東では珍しいトモエガモの雄です。顔の模様が変わっていて国内外問わず人気の高い鳥です。日本では主に西日本や日本海側に飛来することが多く、関東では見られることは少ないため、この連載中に見られると思っていませんでしたので、感激でした!

しばらくすると岸の近くの水面に浮いたままじっとしていたので、早速スケッチ。

カモのほかにも、カイツブリも

オオバン見つかりました。

オオバンは近年全国的に数が増えている鳥ですが、この連載では初登場です。

池の対岸を青い鳥が一羽高速で飛んで行き、水面上の枝に止まりました。カワセミの登場です。

新宿御苑は森も魅力。次に雑木林を歩いてみました。

すると、早速エナガに会いました。せわしなく動き回っては枝先にぶら下がって餌を食べていました。動きも顔もかわいい鳥です。

エナガの後から、ヤマガラもやってきました。枝先を好むエナガと違い、ヤマガラは地面に降りて餌探しをしていました。

その後、コゲラや

ツグミ

シメに会うことができました。

少し休憩しようとベンチを探していると、にわかに森の中の鳥たちが騒がしくなりました。何事かと周囲を見渡すと、上空にオオタカが舞っています!新宿駅の目と鼻の先にある新宿御苑にオオタカがいるとは聞いていましたが、実際に会えるとやはり興奮します。

森と水辺がバランスよく配置された新宿御苑は、鳥たちがたくさんいるすばらしい環境でした。

今回は26種出現して、新しく見たのは8種。しかもオオタカやトモエガモといった予想外の鳥との出会いに大満足でした。

 

お勧め機種

オシドリは池の奥の暗い所にいるので、望遠鏡での観察には最適です。一般の入苑者の邪魔にならないように三脚の設置には配慮をしましょう。また、苑内を歩くときには脚を閉じましょう。森の鳥は双眼鏡での観察がベスト。常緑樹の森もあるので、明るいEDレンズ搭載のものが便利ですが、気軽に鳥を楽しみたいのであれば、小型のものでも十分です。

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 神戸宇考 野鳥画家 神戸宇孝(ごうど うたか)

プロフィール1973年石川県生まれ
英国サンドーランド大学自然環境画学科卒。

5歳の時に野鳥観察に興味を持ち、野鳥画は小学生の時に動物画家の薮内正幸氏の絵を見て描くようになる.CWニコル氏のものの環境管理について学び、2000年英国に留学、野鳥生物を描く基礎を学ぶ。在学中、野鳥雑誌BIRDWATCH野鳥画コンペティションに最優秀画家の一人に日本人としてはじめて出される。野鳥の行動や環境と生き物のつながりを観察するのがモットー。

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