神戸宇孝さんの「らくらくバードウォッチング」NO.14  濾花恒春公園

神戸宇孝さんの「らくらくバードウォッチング」NO.14 濾花恒春公園

2年目5月のおでかけポイント
No.14 濾花恒春公園
環境:森林 池

知人の車の助手席に乗って環状八号線(いわゆる環八)を走っていたときのこと。ふと車窓に鬱蒼とした森が急に飛び込んできました。カーナビを見ると、濾花恒春公園とあります。ナビ上で       さほど大きな公園ではなさそうなのですが、鳥たちの春の渡りに合わせて訪問すれば、オオルリ    など夏鳥にも会えるかもしれないと、5月に訪問しました。

園内ではクラクションなどがない限り隣に交通量の多い道路があるとは思えないほどの静けさ。きっと木の葉が騒音を吸収しているのでしょう。

ふと見上げると木の幹に箱が取り付けてあります。巣箱でしょうか。しかし、ここを使っている   様子はありませんでした。また、この巣箱の掛け方はぜひ改善をお願いしたいと思いました。       木に固定する針金が木の幹に食い込んでいます。おそらく数年かけっぱなしになっているので     しょう。巣箱は毎年、内部を清掃し、幹の成長に合わせて針金を調整しないと木がかわいそうです。

巣箱の遠くでシジュウカラの声がしました。さっそく声の方に足を向けると、いました。しばらく観察していると大きな虫をくわえて先ほどの巣箱とは違う方向へ飛んでいきました。別の場所に巣を作っているようでした。

園内には雑草の生えた地面があり、ムクドリが餌探しをしていました。鳥は基本的に警戒心が強い生き物なので、あまり一カ所に留まることはないのですが、このムクドリは時々ふとじっとして   上空を見上げており、何をしているだろうと不思議な気持ちで観察しました。

地面でほかに鳥がいないか見回すと、キジバトが草の種をついばんでいました。雑草の種を必死に食べている姿を見るたびに、都会の中でしたたかに生きる鳥たちが愛おしくなります。

地面に注目すると、ゴミ箱の前で餌探しをするハシブトガラスを発見。でも、この公園に遊びにくる方はマナーが良いのでしょう。カラスのお腹を満たしてくれるものはなかったようです。06-ゴミ箱カラスIMG_7134

その後、スズメやヒヨドリを観察できたものの、鳥の姿が見当たらなくなり、どうしようかと   迷ってしまいました。ゴールデンウィークの頃は渡り鳥が都内の緑にも飛来しているはずなの       ですが、どうやら今日はこの公園にはいないようです。

さて、どうしようかと思ったそのとき、キーキーと木の上からけたたましい声が聞こえました。   声の方を見ると、ワカケホンセイインコがいました。

ワカケホンセイインコはもともと日本にいた鳥ではなく、ペットとして飼われていたものが逃げ   出したり、声が大きいことで近所からの苦情が出て逃がしたりしたものが全国の都会で増え始め、樹洞で繁殖をしています。最近はその数の増加によって、樹洞を子育ての場所としているムクドリやシジュウカラなどに悪い影響を与えているとも言われています。

こういうことを書くと、外来種は悪者扱いされることが多いのですが、やはり一番悪いのは           死ぬまでちゃんと飼わなかった人間がいけないということを認識しながら観察するフェアな視点が大事だと思っています。

ワカケホンセイインコの出現で複雑な気持ちをなだめるように、コゲラが目の前に現れてくれました。時々こちらを見て元気づけてくれました。

今回はちょっと鳥の出現が少なくて、合計7種。でも、こんなときもフィールドではあります。     そういうことも楽しむ余裕を持つことこそが、野鳥との付き合いを長くするコツだと私は思っています。

お勧め機種
濾花恒春公園は木々の多い公園ですので、双眼鏡が便利です。樹上の鳥の観察にはEDレンズ搭載  モデルでしっかり明るさを確保することをお勧めしますが、Orrosシリーズのような小型軽量の機種をバックに忍ばせて気軽に訪れるのもよいでしょう。

 

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 神戸宇考 野鳥画家 神戸宇孝(ごうど うたか)

プロフィール1973年石川県生まれ
英国サンドーランド大学自然環境画学科卒。

5歳の時に野鳥観察に興味を持ち、野鳥画は小学生の時に動物画家の薮内正幸氏の絵を見て描くようになる.CWニコル氏のものの環境管理について学び、2000年英国に留学、野鳥生物を描く基礎を学ぶ。在学中、野鳥雑誌BIRDWATCH野鳥画コンペティションに最優秀画家の一人に日本人としてはじめて出される。野鳥の行動や環境と生き物のつながりを観察するのがモットー。

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