バンガードプロフェッショナル : William Patino(ウィリアム・パティーノ)
バンガードプロフェッショナル: ウィリアム・パティーノ
オーストラリア、ウロンゴンの海沿いをベースにしている風景&トラベルフォトグラファー。
彼が初めてカメラを手にしたのは2012年。それ以来世界はまるで違って見えると彼は言う。
ウィルは世界中に写真を販売し、ワークショップを開催している。
写真を始めたきっかけは?どうしてフォトグラファーを目指すことになったの?
2011年の年末、妻とヨーロッパ旅行に行ってから、写真に夢中になった。旅のためにエントリークラスのデジタル一眼レフを買って、せっかくお金をかけたんだから使い方を覚えなきゃと思った。オーストラリアからの長いフライトの間にひと通りマニュアルを読んで、といってもマニュアルはよくわからなかったんだけど(笑)、旅行中カメラを使うのは楽しかったし、休暇をさらに楽しむこともできた。帰国してから、2012年にインスタグラムを始めるまでは実はそれほどカメラを使いはしなかったんだ。iPhoneのカメラをしばらく使った後、ようやくまた一眼レフで写真を撮り始めた。そうしたらすぐに夢中になって、自分の心や目を世界に向かって開かせてくれるように感じた。毎日に欠かせないものになって、一番大切なものになったんだ。
ワークショップを開催して、プリントを販売して、SNSでのキャンペーンもいろいろと試して、2015年の初めになんとかなると信じて、8年務めていた空調のメカニックの仕事をやめて、フォトグラファーとして独立したんだ。今は好きなことを仕事にしていて、毎日とても幸せな気分で目が覚める。
作品では荘厳で雄大な自然が表現されているけれど、どうしてそういったものをテーマに選ぶようになったの?
ありがとう!海辺に暮らしているから、自然と海の美しさを撮るようになったんだ。きっとこれからずっと、メインテーマであり続けると思う。カメラがあることによって新しい場所を探検して探して撮影したいと思えるし、そのおかげで自然そのものや環境に対して深く感謝するようにもなった。求めている主題はまだ触れられていない、生々しいロケーションなんだ。見過ごされていたり、あまり知られていなかったりする無意識に息を飲むような場所。光がダイナミックだったり、ドラマティックだったりするような時に居合わせて、シャッターを切りながらそこでその時どんな風に感じたかを作品を通して伝えられればと思ってる。
撮影後の画像加工については?
しばらくの間Photoshopを使わないようにしていて、変わりにとてもベーシックなソフトを使ってた。ただ写真に夢中で、カメラを持って出かけてたから、コンピュータの前に座っていたくなかったんだ。でもRAWで撮り始めるとその時使っていたソフトではファイルを開くことすらできなくて。それで仕方なくPhotoshopをゆっくりと学び始めた。正しい編集方法を知らなくとも、間違いなく写真は洗練されて、プロフェッショナルな雰囲気に見映えがするようになった。
画像編集は写真を作ることも壊すこともできる。僕はカメラの中にすべてがきちんと収められていると信じているから、基本的に加工は最小限にしている。だいたいシャドウとハイライトのトーン調整、レンズの歪みとコントラスト補正くらい。カメラの機能にも限界があるから、自分が撮影した時に目にしたものとまったく同じものを表現するには、時には2枚の画像を組み合わせなきゃならない時もある。逆光時の洞窟がまさにそれ。暗い洞窟の中で必要な露出にするために、ダイナミックレンジの値を上げて、さらに空のハイライトに合わせて別の露出を設定する必要がある。いつもこういう瞬間を次々と即座に切り取って、自分が実際に目にしたものを忠実に再現するために、その写真をフォトショップで組み合わせてるんだ。後は時々画のすべてがシャープになるように、複数の写真を重ねて被写界深度を補正することもある。でも基本的に加工にかける時間も忍耐も僕にはないんだよね!
撮影に欠かせないどこにでも持っていく機材は?
欠かせないものは3つあって、まずはカメラ、レンズ、それと三脚。それさえあれば基本的には大丈夫。メインではSONYのA7Rにf2.8 21mmのレンズを使っていて、作品の90%は光が少ない上に長時間露光で撮影しているから、三脚なしでは撮影が成り立たないんだ。バンガードのアベオプロ283CGHを使ってて、雲台はBBH-300をつけてる。安定感があってでも持ち運べる程度には軽くて、すごく気に入ってる。ボールヘッドも操作しやすくて安定・安心感がある。他にはスカイボーン53も使ってるよ。
精力的にワークショップを開いてるけど、写真を教えることはどんな意味があるの?
それによって自分の作品にも影響を及ぼすこともある?
学校を卒業する時に、教師になろうかなって考えてたんだ。ただ子どもたちを手助けしたいって思ってたし、彼らの人生になにかいい影響を与えられたらって。結局そうはならなくて、販売の仕事についたんだけど。写真を始めてから撮影にも自信が持てるようになって、納得のいく作品も撮れるようになって、ワークショップを始めることにしたんだ。自分が大好きなことを他の誰かとシェアしたり得意なことで手助けできたら楽しいだろうなと思って。今は定期的に個人やグループでのレッスンをしたり、とっておきのロケーションに撮影に出かけたりしてる。誰かのスキルアップの一助になれたり、参加者が最高の一枚を撮ってわくわくしてるのを目の当たりにして、すごくやりがいを感じてる。それによって自分の撮影についてもより考えされられるし、 すべての行程をもっとゆっくりじっくりと楽しもうと思えるんだ。
インスタグラムですごい数のフォロワーがいるよね!インスタグラムのどんなところが好き?
フォトグラファーとしてインスタグラムを戦略的に使うのにヒントはある?
インスタグラムのコミュニティが好きなんだ。初めて使ったSNSなんだけど、今も大好きだよ。すごくポジティブな雰囲気だし、素敵な人がいるし。インスタグラムがこんなに流行る前、かなり早い段階から使い始めてフォロワーが増えたんだ。写真を始めた頃からだから、もう3年間ほぼ毎日使ってる。インスタグラムで成功したい人へのアドバイスは、感じ良くすること。ビジネスライクじゃなくて、正直に人間らしく。”ソーシャル”メディアだからね、使う人がソーシャルじゃなかったらだれも繋がろうとは思わないよ。
Google+のフォロワーもかなりの人数だよね。それに対してのアドバイスはある?
元々は自分の作品をシェアできる場所としてGoogle+を始めたんだ。画像を圧縮されることもないし、インスタグラムみたいにポジティブなコミュニティや人と繋がれるから。頻繁に使うことと、クオリティの高いコンテンツを載せること、コミュニケーションをとること、これが主なアドバイスかな。
もし今この瞬間に自分の作品から一番好きな1枚を選ぶとしたらどれ?そしてなぜ?
難しい質問だよ!好きな一枚はよく変わるんだけど、でもたぶんクオリティ以上にセンチメンタルな理由で古い作品の方が好きかな。家の近くの海食洞から日の出を撮った”メリディアン”って呼んでる作品があるんだ。洞窟の入り口に太陽が揃うのに数ヶ月待ち続けて、さらに潮の満ち引きの時間を計りながら、強い光を待つんだ。何度か試して、そのすべてが揃った。狙い通り、計画通りに撮影を遂行したのはこれが初めてで、心のなかで何ヶ月も思い描いてた画を撮ることができてすごくうれしかった。もう1枚は同じ場所でとった雷の写真。こっちは撮るのに何年もかかるだろうなって予想してた。でも小さな雷が数ヶ月続いてその間に何回か挑戦した後に、5日間連続ですごく大きな嵐が続いたことがあって。最高のチャンスだと思って、雨の中、傘を差して狙っていたところに、雷が落ちてシャッターを切ったら、構成したかったとおりにすべての要素がきれいに並んでたんだ。これ以上の最高の一瞬はなかったと思う。忘れられない感動的な体験だった。こういう瞬間や体験ってうまく表現できないけど。
高みを目指すフォトグラファーたちに何かアドバイスは?
一番のアドバイスは、SNSはもちろん、写真で食べていきたいってことすら忘れることだね。みんなフォロワーのことを気にしすぎて、写真で感じられる満足感とか喜びとかそういったものが欠けてるんだ。定期的にカメラをもって出かけて、他人に影響されすぎずに自分だけの視点を、一瞬を探し続けていれば自然に成長するだろうし、幸せになれるはず。もしそれがおもしろくないなら、ちょっとの間カメラを置く時期なんじゃないかな。もし自分が「なんとかこれでキャリアを築かなきゃ」って思いで始めてたら、たぶん挫折して失敗してたと思う。風景写真は外的な影響から開放されるための逃げ道なんだ。気持ちを開放して、瞬間に溶け込むんだ。もしそれができれば作品に反映されるし、見てる人もしそれに気づくよ。
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