バードウォッチングを気軽に楽しめる新宿御苑でオシドリを観察しよう

バードウォッチングを気軽に楽しめる新宿御苑でオシドリを観察しよう

オシドリ イラスト

 

 

都心の真ん中にある緑のオアシス

 

 冬になると山や北国で繁殖していた鳥たちが里や低地に移動してくるため、身近な環境で観察できる種類や個体数は夏よりも多くなります。都心でもまとまった緑のある場所ではたくさんの種類がやってきますが、今回はオシドリが観察できる新宿御苑を紹介します。

 新宿御苑は地下鉄新宿御苑前駅から歩いて行かれる非常にアクセスがよい場所のうえに、公園としての整備が行き届いているために、お子様づれでも安心してバードウォッチングができるので、オススメです。

 

 

オシドリがやってくる貴重な新宿御苑

 

 以前、東京都内でオシドリがよく見られる場所で有名だったのは明治神宮でしたが、近年は飛来がほとんどなくなってしまい、新宿御苑が主な飛来地となっています。

 新宿御苑にオシドリが「いる」のは確かなのですが、実際は池の水面を見ているだけでは、見つけることはできません。オシドリは非常に警戒心が強いので、池の縁の繁みの中に潜んでいることがほとんどなのです。双眼鏡で池の岸辺の木が覆い被さっている水面をよく見てみましょう。写真の印のあるような場所を見ることが大切です。

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矢印のような場所を双眼鏡でみましょう

 

 

 

まずは雄を見つけましょう

 

 オシドリの雌は地味な色彩で見つけにくいので、まずは派手な雄を見つけましょう。水面で泳いでいたり、木の枝に止まっている雄の姿を確認できれば、その側に雌もいるはずです。ちなみに写真の中に雌は3羽いて、わかりやすいのは一番右の木の上にいる雄の右にいる1羽です。

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少し暗くなった場所が好みのようです

 

 

争いをしている雄

 

 観察をしていると、時々雄同士で追いかけっこをしたり、同じ場所をクルクルと回りながら泳ぐ様子が見られることがありますが、これは雄同士の争いです。雌を巡る争いであることが多いのですが、止まりやすい場所の奪い合いをしているようなこともあり、雄が向かい合って互いに胸を張っていることがあります。よく小競り合いをしている雄もいれば、隅のほうでのんびりしている雄もいて、それぞれなかなか個性的です。

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オシドリにとっては真剣な争いだと思うのですが、丸みを帯びた体形なので、どことなく可愛く見えてしまいます

 

 

カワセミも探そう!

 

 新宿御苑の池には、カワセミも生息しています。「チーッ」と鋭く鳴きながら水面近くを一直線に飛ぶ姿で存在に気がつくことが多いのですが、運よく近くに止まった時は、その姿をじっくり観察しましょう。戦後の高度経済成長期には水質汚染が進み、都内ではほとんど見られなくなったカワセミですが、今は普通に水辺でみられるようになりました。しかし、気をつけていないと観察は難しい種類ですので、観察できる機会は大切にしたいものです。

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止まっていると意外と目立たないので、声を頼りにまずは探すようにしましょう

 

 

オシドリ以外の水鳥たち

 

 目的のオシドリを観察できたら、他の水鳥たちを観察してみましょう。池には嘴の青灰色が素敵なオナガガモやキンクロハジロなどがいます。オシドリのような派手な色合いではないですが、シックな色合いにファンも多いです。これらの種類は開けた水面でのんびりしていることが多いので、非常に見つけやすい種類です。

 また新宿御苑の池にはカイツブリも生息しています。よく潜水をするので双眼鏡でのぞいた瞬間に潜ってしまうこともしばしばですが、カモとは違ってお尻の辺りのフワフワという違いを確認してください。

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オナガガモ(左が雄)

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キンクロハジロ(雄)

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カイツブリ(冬羽)

 

 

森や地面で生活する鳥たちも

 

 新宿御苑はとても豊かな森があり、たくさんの小鳥も越冬しています。特に目立つのはシジュウカラです。顔の白黒の模様が特徴的です。御苑内にはシジュウカラが繁殖に使用する巣箱が多くかけられています。

 また、この時期はツグミがよく見られます。体長24cmほどの大きさで、シベリアから渡ってきます。地味な色彩の鳥ではありますが、日本の冬を代表する鳥の一つです。このような地味な鳥を見つけることに慣れてくることが、いろいろな鳥に出会える機会を増やしてくれます。

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御苑内の鬱蒼とした森

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シジュウカラ

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苑内で見られる巣箱


ツグミ

 

ここで紹介した以外にも多くの鳥たちが新宿御苑にはやってきますし、同じような都内の緑にもやってきていますので、ぜひこの冬は都内の緑を訪ねてみてください。

 

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 神戸宇考 野鳥画家 神戸宇孝(ごうど うたか)

プロフィール1973年石川県生まれ
英国サンドーランド大学自然環境画学科卒。

5歳の時に野鳥観察に興味を持ち、野鳥画は小学生の時に動物画家の薮内正幸氏の絵を見て描くようになる.CWニコル氏のものの環境管理について学び、2000年英国に留学、野鳥生物を描く基礎を学ぶ。在学中、野鳥雑誌BIRDWATCH野鳥画コンペティションに最優秀画家の一人に日本人としてはじめて出される。野鳥の行動や環境と生き物のつながりを観察するのがモットー。

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