第7回 さりげないしぐさで愛をささやく〜オシドリの恋の行方を観察しよう
今まで地味な鳥をずっと紹介してきましたので、今回は派手な鳥を取り上げます。オシドリです。
派手な雄、地味な雌
オシドリは、以前紹介したカルガモと同じカモの仲間です。茶色のカルガモとは異なり、「これが本当に野生の鳥なの?」と疑問に思えてくるような全身が多彩な色をしています。

日本の鳥は渋い色合いのものが多いのですが、野鳥画家としては、オシドリはたくさんの色を使って描くことのできる“楽しい種類”です。 しかし、たくさんの色を使えるのは雄だけ。雌は地味な色彩で(写真02)、雰囲気はカルガモと似ています。オシドリの雌とカルガモの見分けは、以下の点に注目するとよいでしょう。

1. 嘴の先端は黄色くない
2. 目の周りが白く、その白が目の後ろへ伸びている
3. 脇腹に淡褐色の水玉状の斑点がたくさんある
以上の点に注目して、オシドリの雌を探してみてください。もし「それはちょっと難しそうだな」と思ったら、まずは派手な雄を探し、その隣にぴったり寄り添っている地味なカモに注目してください。ほとんどの場合、それがオシドリの雌です。


カモなのに、森の鳥!?
オシドリを見つけるには、岸が森で覆われている池や沼、川などを探すことから始めてください。

その森の地面にドングリが落ちていれば、よりその可能性は高まります。

実はオシドリはドングリが大好物。カモがリスやネズミと同様にドングリを食べるというのは不思議な感じがしますが、シイやカシ、コナラなどのドングリがなる森の中にある水辺では、実際にオシドリをたくさん見つけることができます。
オシドリは陸を歩きながらドングリを探して食べるので、水の上にいるほかのカモと比べると天敵にも襲われやすくなります。そのため、派手な姿に似合わず、とても警戒心が強い鳥。特にテンやイタチ、キツネなど肉食獣などがいる山間のダム湖などのオシドリは人影を見るとすぐに飛び立ってしまいます。カルガモは人にも慣れていて、極端に言えば“水さえあればどこでも住んでいるような”鳥”ですが、オシドリは「住環境にこだわりがあって人見知りをする」、そんな鳥です。同じカモの仲間でも、種類によって習性が全然違う良い例です。
オシドリに会いに行こう!
オシドリの好きな環境はわかっても、「警戒心が強いなら、自分で見つけるのは難しそう」と思われたかもしれません。でも、心配ご無用です。意外とそばにいるのがオシドリです。
お正月、初詣で出かけた大きな神社や休日に出かけた日本庭園などに、森に囲まれた池などがあれば、そのような場所にオシドリがやってきています。郊外にお住まいの方ならば、里山環境にある溜め池でもかまいません。場所によっては、古墳や城址にある堀も条件に合う場所があります。そのような場所をいくつか行ってみてください。岸辺近くの木の枝などが覆い被さっている水面付近が注目ポイントです。


枝越しなどになることも多いですが、群れで泳いでいたり、岸に上がって休む姿が見つかると思います(写真07)。

真冬の恋の物語
オシドリにとって冬は恋の季節です。寒いのを少し我慢して、オシドリの行動をしばらく観察してみましょう。 雄と雌が寄り添っているのは、もうペアになっている2羽です。雄が嘴で雌にやさしく羽づくろいをするなど、かなりの熱愛ぶりです。

その一方で、ペアになっていない「あぶれ雄」というのがいます。このあぶれ雄をしばらく観察していると、雌を獲得するための行動をしているのがわかります。 求愛ディスプレイです。以下の連続写真をご覧下さい。




嘴を水にちょんとつけ、その後に羽の後ろに頭を隠すような動きで、これは一見すると羽の手入れをしているようですが、これはオシドリの雄の求愛行動で「みせかけ羽づくろい」という名称もついています。 さりげない行動で雌にアピールするオシドリの雄。つぶらな瞳で雌の行く先を必死に追ってディスプレーします。
あぶれ雄には、略奪愛を試みるものもいます。ペアになっている2羽に近づき、様子をうかがっています。

しつこいとペアの雄が追い払い、水しぶきをあげての激しい喧嘩になることもしばしばです。

装いも派手で自由奔放に生きているように見えるオシドリの雄ですが、実は厳しい野生の世界で頑張って生きています。ぜひこの冬に、彼らに会いに出かけてみてください。

撮影地:埼玉県(飯能市、狭山市)、東京都(渋谷区 明治神宮)
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