神戸宇孝さんの野鳥観察に行こう! 第13回 7月は「キセキレイ」

神戸宇孝さんの野鳥観察に行こう! 第13回 7月は「キセキレイ」

神戸宇孝さんの野鳥観察に行こう! 第13回 渓流で涼みながらバードウォッチング!〜スマートボディのキセキレイを探そう!


キセキレイの雄のイラスト

日本では少ない「黄色い鳥」の代表選手


 7月に入って梅雨が明けると、いよいよ夏本番。暑さも一気に勢いを増し、鳥を観察する気分にもならないと思います。そこで今回は、ちょっと遠出をしてみましょう。目指すのは山間の渓流。涼しくて気持ちのよい風を感じながら、キセキレイを探してみてください。

 キセキレイは、以前ご紹介したハクセキレイと同じ仲間です。「スズメほどの大きさの体に長い尾」という基本的な体の形は似ていますが、ハクセキレイに比べると若干ほっそりとしているのが特徴です。

渓流の石の上に止まるスマートな体つきのキセキレイ

 お腹は黄色く、背中は灰色です。日本では「黄色い鳥」は少ないので、野鳥を描く仕事をしている人間として、黄色を使えるのはちょっと嬉しいです。

 飛び方はハクセキレイと同様に、大きな波形を描きます。ハクセキレイの行動をしっかり見ておけば、キセキレイを探すときにも応用できるのがうれしいですね。

いそうな場所を“先回りチェック”


 図鑑で見るとキセキレイの黄色はとても目立ちますが、渓流では背中の灰色が石の色に似て、見事な保護色となっています。

灰色の石に溶け込むように止まるキセキレイ

 そのため、キセキレイとの出会いを確実にするには、「いそうな場所を双眼鏡でチェックしていく」という作業が大切になります。よく止まっているのは、渓流の大きな石の上や、流れの中に石が半分沈んでいるような場所です。

キセキレイが潜む渓流の風景

キセキレイがどこにいるか、見つけられましたか?

渓流にいるキセキレイの位置を矢印で示した画像

 こうしたポイントを意識して双眼鏡を向けると、画像のようにきっと見つけられると思います。

流れの中の石に止まるキセキレイ
渓流の石の上で周囲を見渡すキセキレイ

 ここで、ちょっとキセキレイの気持ちになってみましょう。次の画像の中でキセキレイが好みそうな場所を、前述のポイントを参考に頭の中で想像してください。

キセキレイを探す場所を考える渓流の風景

神戸さんが双眼鏡で確認する7か所を、皆さんの予想と比べてみてください。

キセキレイを探す7か所の順番を番号で示した渓流の画像

 私と鳥を見に行った人から「どうして鳥をそんなに見つけられるのですか?」とよく聞かれます。種明かしをすると、闇雲に鳥を双眼鏡で探しているのではなく、目の前の環境からどんな鳥がいるかを事前に予測し、その鳥たちが好む場所を双眼鏡で確認しているのです。

 キセキレイを渓流ですぐに見つけられるのは、キセキレイの気持ちになって「好みの場所を先回りチェック」しているからです。難しく感じるかもしれませんが、キセキレイとの一つひとつの出会いを大切にして経験を増やしていけば、誰にでもできることです。ぜひ挑戦してみてください。

川沿いの電線も要チェック


 これまでキセキレイがいそうな場所として紹介したポイントは、餌を採ったり、休憩したりする場所です。キセキレイがなかなか見つからないという方には、とっておきの場所があります。それは電線です。

 川の近くにある電線には、なわばりの様子を確認するためにキセキレイがよく止まっています。

川沿いの電線に止まるキセキレイ

 黒っぽいシルエットに見えることがほとんどですが、光の向きがよければ、お腹の黄色をしっかり確認できます。

 見通しがよい場所は電線だけではありません。高い木の上もよく使っていますので、川を見下ろせる木の枝先にも注意してみてください。

川を見下ろせる高い木の枝先に止まるキセキレイ

雄と雌の見分けに挑戦


 キセキレイを数多く見る機会がありましたら、ぜひ喉の色を確認してください。夏の間は、喉が黒くなっているのが雄、白いのが雌です。

喉が黒い夏のキセキレイの雄
喉が白いキセキレイの雌
喉が白いキセキレイの雌のイラスト

 ただし、雄の喉がしっかり黒いのは夏の間だけで、冬になると雄も白くなりますのでご注意ください。

 夏の渓流で雄と雌が近くで行動していたら、ひょっとすると巣立ったばかりの雛にも会えるかもしれません。

巣立ったばかりのキセキレイの雛

 かわいい雛にも会えるといいですね。でも、くれぐれも近づき過ぎないように気をつけてください。

実は渓流まで出かけなくても…


 私が鳥を見始めた子供の頃、鳥のことをよく知っている方から「キセキレイは川の上流に住み、ハクセキレイは川の中流以降に住んでいるんだよ」と教わりました。しかし、いろいろな場所へ出かけているうちに、キセキレイは干潟地域を除いて、市街地の細い川でも見つけられることがわかりました。

 この話だけを聞くと、その方が私に間違いを教えたように思えるかもしれませんが、「キセキレイは上流域まで生息し、ハクセキレイは中流から下流を好む」ということを、子供の私にもわかりやすく説明してくださったのだと思っています。

 私の住む都市近郊の街に流れる小さな川は、県下有数の汚い川ですが、実はたくさんのキセキレイが生息しています。コンクリートで護岸された自然度の低い川で、キセキレイはその護岸にへばりつくように止まり、水面の虫などを狙っています。

市街地の護岸に止まるキセキレイ1
市街地の川辺で水面を見つめるキセキレイ
市街地の川の護岸で餌を探すキセキレイ
コンクリート護岸を歩くキセキレイ

 街の中の河川は冬のほうが臭いも少ないので、季節を選んで快適なバードウォッチングをしましょう。

 これからは暑い季節です。まずは渓流で気持ちよくキセキレイを堪能し、夏の出会いを基礎にして、冬季の身近な場所にもキセキレイがいないか探してみてください。

撮影地:神奈川県(綾瀬市、海老名市、清川村、座間市)、埼玉県(横瀬町)

 お勧め機種
 渓流でじっとしてキセキレイの飛来を待つのが得策です。10倍の双眼鏡を使って、じっくり観察しましょう。

キセキレイ観察 Q&A


Q. キセキレイはどんな場所で見つけやすいですか?

山間の渓流にある大きな石の上や、流れの中に半分沈んだ石の周辺で見つけやすい鳥です。川沿いの電線や、川を見下ろせる高い木の枝先に止まっていることもあります。

Q. 渓流でキセキレイを見つけるコツはありますか?

背中の灰色が石の色に溶け込むため、闇雲に探すのではなく、キセキレイが好みそうな大きな石や水面近くの足場を双眼鏡で順番に確認するのがコツです。

Q. 夏のキセキレイの雄と雌はどこで見分けられますか?

夏の間は喉の色が見分けるポイントです。喉が黒い個体が雄、白い個体が雌です。ただし、冬になると雄の喉も白くなるため、季節による変化に注意してください。

Q. キセキレイ観察にはどんな双眼鏡が向いていますか?

渓流で少し離れた場所から飛来を待ち、石の上や対岸をじっくり確認するには10倍双眼鏡がおすすめです。鳥に近づき過ぎずに観察することにも役立ちます。

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筆者紹介


神戸宇孝

野鳥画家 神戸宇孝(ごうど うたか)

プロフィール: 1973年石川県生まれ。
英国サンドーランド大学自然環境画学科卒。

5歳の時に野鳥観察に興味を持ち、野鳥画は小学生の時に動物画家の薮内正幸氏の絵を見て描くようになる。CWニコル氏の環境管理について学び、2000年英国に留学、野鳥生物を描く基礎を学ぶ。在学中、野鳥雑誌BIRDWATCH野鳥画コンペティションに最優秀画家の一人に日本人としてはじめて選ばれる。野鳥の行動や環境と生き物のつながりを観察するのがモットー。

本サイトの掲載写真・イラスト・文章は許可のない転載、複製など固くお断りします。
すべての著作権を有しています。

記事一覧


神戸宇孝さんの野鳥観察に行こう!:神戸宇孝

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