神戸宇孝さんの野鳥観察に行こう! 第15回 9月は「モズ」

神戸宇孝さんの野鳥観察に行こう! 第15回 9月は「モズ」

神戸宇孝さんの野鳥観察に行こう! 第15回 秋を告げる小さな猛禽、モズに会いにいこう!

こんにちは、VANGUARDです。
今回は野鳥画家の神戸宇孝さんに、秋の風物詩として親しまれる「モズ」の見つけ方や観察のポイントをご紹介いただきました。

モズの雄(左)と雌(右)のイラスト/神戸宇孝
モズの雄(左)と雌(右)のイラスト/神戸宇孝

この記事でわかること

  • 秋に響く「モズの高鳴き」と、雄・雌の見分け方
  • 里山や公園でモズを見つけるための探し方
  • 「百舌」という名前の由来と、「はやにえ」の習性
  • 高い枝先のモズを観察するための傾斜型スコープ

秋の風物詩、モズの高鳴き


鳥の観察が生活の一部になると、人生がとても豊かになります。鳥たちのさえずりに耳が反応することで春を早く感じることができたり、初夏に巣立ってまもない小鳥の雛たちのかわいらしい姿を発見することで、季節の巡りを感じるようになるからです。

秋には、特に季節の到来を感じさせる鳥がいます。モズです。

大きさはスズメを一回り大きくしたくらい(約20cm)で、尾羽がやや長め。ゆっくりとその尾を振ります。雄の顔には太い黒い線があり、翼に小さい白斑があるのが特徴です。

モズの雄。顔の太い黒い線と、翼の小さな白斑が特徴です。
モズの雄。顔の太い黒い線と、翼の小さな白斑が特徴です。

雌は全体に茶色っぽく、お腹に鱗のような模様があることで、雄と見分けができます。

モズの雌。全体に茶色っぽく、お腹には鱗のような模様があります。
モズの雌。全体に茶色っぽく、お腹には鱗のような模様があります。

モズは一年中日本にいる鳥ですが、9月ごろから越冬のための縄張りを確保するため、「ギチギチギチギチ、キョンキョン、キィーキィーキィー」などとけたたましく大きな声で鳴きます。秋に大きな声で鳴く鳥は少ないため、昔から『モズの高鳴き』と呼ばれて、秋の風物詩となってきました。

秋に縄張りを確保するために鳴く「モズの高鳴き」。
秋に縄張りを確保するために鳴く「モズの高鳴き」。

縄張りが決まると、この高鳴きは止めてしまいます。

モズを漢字で書くと『百舌』


モズを漢字で書くと『百舌(あるいは百舌鳥)』。鳥の名前で、“百の舌”とは、どういうことなのでしょう?

高鳴きを止めてしばらく静かに止まっているモズがいたら、耳を澄ましてみましょう。高鳴きとは異なり、嘴をほとんど開かずに小声で、「ピーピーピー、チュイ、キュルキュル」などと鳴くことがあります。これはモズが他の鳥の声を真似ているのです。しかも、たくさんの種類を真似ることができるため、“百舌”という漢字が当てられたのです。

実際に100種もの声真似をするモズは記録されていないようですが、私は2012年秋に埼玉県で北海道の原野に生息する鳥たち(コムクドリ、オオジシギ、ビンズイなど)の声を真似するモズに会いました。きちんと聞き分けられた声はそれほど多くなかったのですが、さまざまな鳥の声真似をすることは実感できました。

ときには獰猛な一面も…


モズは、バッタやコオロギ、カマキリなどの昆虫が主な食べ物です。丸呑みをするには少々大きい昆虫も餌にしているため、肉を引き裂けるように嘴の先端がタカやワシのような形をしています。

昆虫が捕れないときは、トカゲやカエル、時にはネズミ、小鳥などを襲って食べることもあります。私が子供の頃に飼っていたジュウシマツはモズに襲われてしまいました。このような習性から猛禽類と呼ばれることもありますが、スズメ目モズ科に分類されており、厳密にはワシやタカの仲間とは違います。

ホオジロと同じような環境を好むモズ


モズがよくいる環境は、餌を探す草地と身を隠す樹林がモザイク状に存在するところ。草地の多い里山や農地などです。

以前紹介したホオジロとほぼ同じ環境を好むため、彼らを探した場所に足を運ぶのがモズを発見する近道です。芝生広場とちょっとした雑木林のある敷地の広い公園などにもいることがあります。

周囲を見渡せる木のてっぺんが好き


モズを実際に観察するには、高いところにじっと止まっているのを見つけるのがよいでしょう。見つけ方はホオジロとほぼ同じで、高い木の枝先を探しましょう。

木の高いところに、モズが止まっていないか探してみましょう。
木の高いところに、モズが止まっていないか探してみましょう。
モズを大きく見てみる
上の写真のモズを大きく捉えた様子。
上の写真のモズを大きく捉えた様子。
周囲を見渡せる高い場所も、モズの観察ポイントです。
周囲を見渡せる高い場所も、モズの観察ポイントです。
モズを大きく見てみる
上の写真のモズを大きく捉えた様子。
上の写真のモズを大きく捉えた様子。

大きい鳥ではないので、最初のうちは枝先に葉や枝が多いと見つけにくい場合があるかもしれませんが、双眼鏡の中に鳥の姿がないか、じっくり探してみましょう。

探し方のコツは、周囲より少し高い木の枝先をくまなく確認することです。

周囲よりも少し高い木の枝先に注目してみましょう。
周囲よりも少し高い木の枝先に注目してみましょう。

周囲に適した場所がない場合は、電線やテレビアンテナ、杭の上などにもやってきます。

今回は画像に矢印を入れていませんので、この画像を参考に身近なフィールドで探してみてください。

モズが高いところに止まっているのは、下の草地を見下ろして獲物のバッタなどが動くのを待っているのです。獲物を見つけると、そこから落ちるように舞い降りて捕えます。

人の動きをよく観察している鳥


モズは、よく人間を観察している鳥だと思うことがあります。写真をご覧下さい。

手前から2本目の杭の上にモズがいます。草刈り作業で出てきた虫を待っていました。
手前から2本目の杭の上にモズがいます。草刈り作業で出てきた虫を待っていました。

これは私の家の近くの公園で撮影したもので、杭の右側は前の週まで草薮になっていました。よく見ると、手前から2本目の杭の上にモズが止まっています。このモズは、造園業者(奥の白いのが造園業者の車です)が杭の右側部分の草刈りをしているところをじっと見ていました。

このモズが何をするのかしばらく観察を続けたところ、モズは草刈り作業で追い出されたバッタなどの虫を捕まえては食べていました。自分より体が大きい人間が草原に入ることで虫たちが驚いて飛び立ったり、茂みに隠れていた虫たちが草刈りによって姿を現わすのを知っていたのでしょう。

造園業者はモズにまったく興味がなかったので、危害を加えられる心配もありません。モズは人間の動きを良く見ていると感心した出来事でした。

モズの“はやにえ”を探してみよう


モズのいる環境を見つけることができたら、次に“はやにえ”を探してみましょう。

カエルの「はやにえ」。捕えた獲物を枝などに突き刺す習性です。
カエルの「はやにえ」。捕えた獲物を枝などに突き刺す習性です。

はやにえとは、捕えた獲物を枝などに突き刺した状態をいいます。獲物が大きく足でうまく押さえられないときに固定の役割で刺したり、獲物が多く捕れたときに一時保管するために刺しておくと言われています。おおよそ人の目の高さにありますので、モズの姿が見られる場所ならば見つけられる可能性があります。

はやにえをよく観察すると、はやにえにされた生き物の急所に枝が見事に貫通しています。写真のカエルも腹部の急所を突いていました。こんなことを書くと、モズが残忍な鳥のような印象を受けてしまいますが、彼らにとっては自分の命をつなぐために身につけた“生きる技”ですし、獲物となった生き物に無駄な苦しみを与えない、モズのやさしさのようなものを私は感じています。

里山とともに生きてきたモズ


近年、私の鳥を見る仲間から「モズが減ってきたような気がする」という意見をよく聞くようになりました。草地と樹林が混在する里山環境を好むモズは、公園や河原も利用するので、いますぐ保護の手を差し伸べなくてはいけない鳥ではないと思います。しかし、宅地化や農耕放棄による里山の環境変化によって、モズには棲みづらい環境が増えていることは否めません。

最近、日本の里山環境は人間の生活と自然のサイクルが見事に調和した例として海外から注目されてきています。また、日本の食料自給を支えてきた環境の一つでもあります。モズがずっと棲み続けている日本にすることは、日本人にとっても、自然を愛する世界の人々にとっても、きっと有益なことだと私は考えます。

日本にモズがいるということを、大切にしていきたいですね。

里山の環境とともに暮らすモズ。身近な自然とのつながりにも目を向けてみましょう。
里山の環境とともに暮らすモズ。身近な自然とのつながりにも目を向けてみましょう。

撮影地:茨城県(土浦市)、神奈川県(海老名市、秦野市、藤沢市)、埼玉県(入間市、坂戸市)、千葉県(船橋市)、東京都(清瀬市、調布市)、新潟県(佐渡市)

モズ観察におすすめのスコープ


モズは木のてっぺんに長く止まることが多いので、倍率の大きい双眼鏡でもすぐに視野に捉えることができますし、初心者の方でもスコープで観察できる機会が多いでしょう。高いところに止まっている姿を見るスコープは、姿勢に負担がないので傾斜型がお勧めです。

VEO HD 60A アングル型スポッティングスコープの本体
VEO HD 60A/VANGUARD公式商品画像

VEO HD 60A

倍率15〜45倍・対物レンズ口径60mmのアングル型(傾斜型)スポッティングスコープです。

VEO HD 60Aの商品ページへ
VEO HD 80A アングル型スポッティングスコープの本体
VEO HD 80A/VANGUARD公式商品画像

VEO HD 80A

倍率20〜60倍・対物レンズ口径80mmのアングル型(傾斜型)スポッティングスコープです。

VEO HD 80Aの商品ページへ
項目 VEO HD 60A VEO HD 80A
型式 アングル型(傾斜型) アングル型(傾斜型)
倍率 15〜45倍 20〜60倍
対物レンズ口径 60mm 80mm
質量 1,205g 1,550g

モズ観察 Q&A


Q. モズの高鳴きは、いつ聞けますか?

モズは9月ごろから越冬のための縄張りを確保しようと大きな声で鳴きます。この秋の鳴き声が「モズの高鳴き」です。縄張りが決まると、高鳴きは止めてしまいます。

Q. モズの雄と雌は、どこで見分けられますか?

雄は顔の太い黒い線と、翼の小さな白斑が特徴です。雌は全体に茶色っぽく、お腹に鱗のような模様があります。

Q. モズを探すなら、どんな場所がおすすめですか?

草地と樹林が混在する里山や農地、芝生広場と雑木林のある広い公園などを探してみましょう。周囲より少し高い木の枝先のほか、電線やテレビアンテナ、杭の上も手がかりになります。

Q. モズを「百舌」と書くのはなぜですか?

モズは、ほかのさまざまな鳥の声を真似することから「百舌」や「百舌鳥」と書かれます。高鳴きとは異なり、嘴をほとんど開かず、小声で鳴くことがあります。

Q. モズの「はやにえ」とは何ですか?

捕えた獲物を枝などに突き刺したものです。大きな獲物を固定したり、多く捕れた獲物を一時保管したりするためといわれています。

Q. 高いところにいるモズの観察には、どんなスコープがおすすめですか?

神戸さんは、高いところに止まるモズを無理のない姿勢で観察しやすい傾斜型をおすすめしています。この記事ではアングル型のVEO HD 60AとVEO HD 80Aをご紹介しています。

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筆者紹介


神戸宇孝

野鳥画家 神戸宇孝(ごうど うたか)

プロフィール: 1973年石川県生まれ。
英国サンドーランド大学自然環境画学科卒。

5歳の時に野鳥観察に興味を持ち、野鳥画は小学生の時に動物画家の薮内正幸氏の絵を見て描くようになる。CWニコル氏の環境管理について学び、2000年英国に留学、野鳥生物を描く基礎を学ぶ。在学中、野鳥雑誌BIRDWATCH野鳥画コンペティションに最優秀画家の一人に日本人としてはじめて選ばれる。野鳥の行動や環境と生き物のつながりを観察するのがモットー。

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記事一覧


神戸宇孝さんの野鳥観察に行こう!

第1回 カワセミの記事サムネイル
第2回 コサギの記事サムネイル
第3回 カルガモの記事サムネイル
第4回 カワウの記事サムネイル
第5回 キジバトの記事サムネイル
第6回 ムクドリの記事サムネイル
第7回 オシドリの記事サムネイル
第8回 ハクセキレイの記事サムネイル
第9回 スズメの記事サムネイル
第10回 キジの記事サムネイル
第11回 ホオジロの記事サムネイル
第12回 オオヨシキリの記事サムネイル
第13回 キセキレイの記事サムネイル
第14回 カワラヒワの記事サムネイル
第15回 モズの記事サムネイル

本記事は、神戸宇孝さんの寄稿原稿をもとに制作しています。本文中の野鳥写真・イラストは神戸宇孝さんによるものです。商品・キャンペーン画像はVANGUARD提供です。

 



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